「宝くじで夢を買う」人が知らないトータルの損得 公営と民営では民営のほうが還元率は高い

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しかし裏を返せば、そうした公的な目的があるため還元率は低くなります。還元率が最も低い宝くじは、購入者に還元される賞金や運営に必要となる経費を除いた40%弱が、都道府県の公共事業などに還元されています。宝くじで夢を買うなどと言われますが、購入者に還元されないだけで、他の誰かの夢に還元されているのかもしれないのです。

反対に、カジノのルーレット、パチンコなどの民営のギャンブルは、公共事業に還元するわけではなく、プレイヤーに還元している分、還元率が高いです。つまり、公営と民営では民営のほうが還元率は高いということです。

また、プレイヤーの意思決定の幅が広いものほど還元率が高く、意思決定の幅が狭いものは還元率が低くなります。

「還元率が高い」という名のトラップ

宝くじやスポーツくじは還元率が低いのですが、低いなりのメリットはないのでしょうか? 実は、還元率が低くてもメリットはあります。正確には、宝くじやスポーツくじより還元率が高いほかのギャンブルには、隠れたデメリットがあるのです。それは税金で、目に見えないステルス・デメリットと考えられます。

例えば、競馬やオートレースなどの公営ギャンブルは、所得税法34条で一時所得とされているため、所得税の課税対象となります。そのため、公営ギャンブルで高額当せんした場合、還元率に税金を考慮すると、宝くじ・スポーツくじとそれほど変わらない分の悪いギャンブルになります。

場合によっては還元率が100%を超えるブラックジャックでさえ、税金を考慮すれば、還元率は100%を下回ってしまうのです。宝くじやスポーツくじは還元率が低く、その還元率の低さから厳しいことをおっしゃる方もいますが、宝くじ・スポーツくじはいずれも税金がかかりません。当せん金が7億円であっても、税金がかからないのです。

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佐々木 淳 下関市立大学教養教職機構准教授

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ささき じゅん / Jun Sasaki

防衛省海上自衛隊パイロット候補生の数学教官、代々木ゼミナール数学科講師を経て現職。防衛省時代は、数学を苦手とする文系パイロット候補生に、パイロットに必要な理系数学を日本で唯一教えていた。教え子は1000 人以上。パイロット候補生の教育とは別に小学生の算数教室などの出前授業を実施、全国紙を含むメディアで紹介。読売中高生新聞の理数コーナーの連載を担当、中高生に実用的な数字・数学を伝えている。保有資格は、数検1 級、AI 実装検定他。過去、雑誌『プレジデント』内数字の学校も担当。

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