日本のかつお・まぐろ漁、なぜ衰退が続くのか

南洋での入漁料高騰が大打撃に

実際に日本のまき網漁船ほとんどは1000トン型で、中国や台湾、韓国などが標準とする1800トン型と比べて漁倉容積や速力などで遅れをとっている上、魚群探査用ヘリコプターの搭載もない状態だ。

外国漁船の脅威は大型化だけではない。「全国遠洋かつお・まぐろ漁業者協会」は、台湾系の小型漁船が南太平洋島嶼国に船籍を移して増隻していることに危機感を募らせている。

そもそも小型漁船は十分な冷凍設備を持たないためにOPRT(責任あるまぐろ漁業推進機構)の管理枠外とされていたが、これら新規の小型船はマイナス50度の超低温設備を備えており、規制の目をくぐりぬけているからだ。

政府の積極的な研究調査も必要

また「全国近海かつお・まぐろ漁業協会」は、パラオ共和国で外国漁船商船漁業禁止法案、ミクロネシア連邦でサメ法案が出されており、日本漁船が海域から締め出される危険性について政府の対処を求めている。

こうした問題について井林氏は、「政府を通じて適切な国際ルールを作っていくこと、また島嶼国にはODAの水産無償資金協力を行っているが、これを国内漁業者の入漁確保に資するように活用していくことが重要だ。外務省は『ODAは紐付きであってはならない』と原則にこだわりがちだが、漁業を守ることこそ国益にかなうことだ」と述べる。

さらに水産資源について、政府の積極的な研究調査も必要だと井林氏は主張する。たとえば昨年はかつおが歴史的な不漁で、外国漁船による南洋での乱獲が原因ではないかと言われたが、真相はまだ解明されていない。
「実はかつおの生態はよくわかっていないところがあり、南洋で成魚に発信器を付けても、日本海域で発見されなかった。おそらくは北緯20度あたりで一度産卵し、それが成魚となり北上するのだろうと推定されているが、詳細は不明だ」。

水産庁はこの「ミッシングリンク」の早急な解明に務めることを言明。原因がわかれば対策を打つことも可能だが、それを後押しするのは政治の役割だと井林氏は述べる。「日本の漁業は伝統産業であり、食文化を担う重要な役割も果たしている。我々はこれをしっかりと守っていかなければならない」。

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