「菜食主義は疲れやすい」が嘘でない医学的理由 20~49歳「日本女性の3割」は"かくれ貧血"?
鉄欠乏にならないようにするには、月経のある年代の女性では1日15mg程度の鉄の摂取が望ましい。だが現状では、女性が摂っている鉄は平均7mgほどで、必要量の半分に過ぎない。
では、何をどれくらい食べたら必要量を満たせるのだろう? 100g中に含まれる鉄の量は、豚肉が13.0mg、鶏肉が9.0mg、牛肉が4.0mgである。卵は1個0.9mg、本マグロ80gあたり0.9mgだ。
菜食主義・ヴィーガンの男性も要注意
また、ビタミンCや酢、クエン酸、貝類に多いコハク酸などは、鉄吸収を促進するので、ぜひ一緒に摂りたい。一方、豆類・納豆に多いシュウ酸塩や、お茶などに含まれるタンニン、牛乳などに多いカルシウム、胃酸を抑える制酸剤などは、鉄の吸収を妨げるので、食べ合わせに注意したい。
なお、男性では鉄欠乏症はまれであり、鉄欠乏症が起こる場合は、胃潰瘍や大腸がんなど、消化管から出血するような基礎疾患の存在を疑うべきだ。もちろん、閉経後の女性も同様である。
ただし例外は、菜食主義者やヴィーガンの人だ。
食物中に含まれる鉄には、「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」と2種類あって、肉や魚に含まれる「ヘム鉄」は吸収がよい。だから日本の平均的な、バランスのよい食事を摂っていれば、月経がない人は心配することはほとんどない。
他方、肉や魚を食べない人が十分な鉄分を摂取するのは困難だ。たしかに野菜にも鉄は含まれるが、ほうれん草は1/3束あたり2.0mg、小松菜は100gあたり2.8mg、ブロッコリー70gあたり0.7mgで、野菜だけで必要量の鉄を摂るのはかなり難しい。
しかも植物性食品に含まれる鉄は「非ヘム鉄」で、体にとっては吸収が難しい。要するにたくさん食べてもほとんど身に付かずに排泄されてしまうのだ。
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