「菜食主義は疲れやすい」が嘘でない医学的理由 20~49歳「日本女性の3割」は"かくれ貧血"?
鉄欠乏症の症状は、息切れ、頭のぼんやりした感じ、疲労、ふらつき、冷え症、動悸など、本当に多様で漠然としていて、鉄欠乏の決め手となる決定的な症状というのがない。不安やうつ、睡眠障害などの精神症状、さらには心不全など循環器疾病にも関連している。
放置される「疲れやすさ」「イライラ」の原因
そのため「原因不明の症状」、要するに「不定愁訴」としてまとめられ、鉄の補充によって治療可能であると認識されることが少ない。
先に鉄欠乏は要するに「酸欠」とざっくり書いたが、もうちょっと詳しく説明しておこう。
鉄はヘモグロビンの製造に使われる。ヘモグロビンは赤血球中のタンパク質で、肺で酸素を受け取って体のすみずみに届け、代わりに二酸化炭素をもらって肺に戻り、放出する働きをしている。のみならず鉄は、生命維持のために細胞内で行われる様々な化学反応の際に、触媒としても作用している。ホルモンの生成にも不可欠の微量元素だ。
だから、鉄不足は生命そのものの危機と言っていい。原因不明といって放置している場合ではないのだ。
一方、とりあえず使われなかった鉄は、「フェリチン」と呼ばれるタンパク質として、骨髄や肝臓に貯蔵される。
体内の鉄貯蔵量が低下すると、残りの鉄は心臓、脳、筋肉の機能を犠牲にして、赤血球の維持に振り向けられる。貯蔵されている鉄を使い切ると、ヘモグロビンを多く含む健康な赤血球を作ることができなくなり、貧血になる。
つまり、貧血まで行ってしまったら、それは体内の正常な生命維持機能が破綻した状態に他ならない。貧血、つまりヘモグロビンが低下して初めて医療機関を受診するようでは遅いのだ。
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