ガザ地区では保育器の乳児が電気がなく死に直面 イスラエルはガザ地区に燃料支援を認めない意向

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(写真:FNNプライムオンライン)

橋下徹氏(弁護士、元大阪府知事):ハマスは完全にパレスチナ住民を盾に使っている。でも、盾に使っているからといって、その人間の盾を全部打ち壊して攻撃していいのかというと、それは違う。第2次世界大戦以前のいろんな悲惨な戦争の経験を踏まえて、国際社会が一定の慣習上の合意を形成してきた。(イスラエルの自衛権として)ハマスのトンネルを壊滅させる必要性は、もう誰もが認めている。必要性はあるのだけど、でも、その攻撃、反撃、自衛権の行使については、相手の武力、相手からやられたことと均衡性の取れる武力行使、均衡性の取れる反撃行為にしておきましょうと。もしこれを必要性の名のもとに崩してしまえば、例えば、ロシアがいまウクライナに侵攻していることも、彼らは自分たちの自衛権だと言っているわけだ。ウクライナの東部地方では、ロシアに帰属したいという人たちもいて、その人たちを守るためにプーチン大統領は自衛権を行使していると言っている。でも、われわれは「それは違うだろう。それは侵略だろう」と言う。ロシアの侵攻を止めないと、今度は中国が台湾に自分たちの理由、事情により台湾を侵攻してくるかもわからない。それぞれの国の勝手な理由を排除して、きちんと国際社会で合意されたルールを守っていきましょうということで、いま一生懸命、ロシアに対しても、中国に対しても言っている中で、「中東の現実だから仕方ないよね」とは絶対言ってはいけない。そう言った瞬間に第2次世界大戦以前の弱肉強食、力による現状変更を認めるような野蛮な世界にもう1回戻りかねない。必要性は認めるのだけど、やり方については、空爆とか、やらなければいけないかもわからないけど、(市民に犠牲が出ないようにピンポイントに標的を)絞るやり方や、市民を避難させてからやるということを徹底するよう国際社会は言っていかなければいけないと思う。

テロに対する自衛権とルール

佐藤氏:まったくそのとおりで同感だ。テロに対しても一定程度自衛権はある。でも、やはりルールがある。必要性と均衡性は非常に大事だ。ただ、残念ながらこれに定量的なものはなくて、定性的なものだ。そこが非常に難しい。イスラエルの立場には賛同しない。「人間の盾として使っているのはハマスなんだ」「われわれは南に移動するようにもう勧告をした」「勧告して残った人間はすべてハマスだ」「だから、そこはやってもいいんだ」みたいな極端な理屈だ。自分たちがやられた犠牲の名のもとにそうとうたたく。誰が考えてもあの空爆はやりすぎだ。これから地上戦でゆっくりやるのだったら、もう少しやり方があるはずだ。徐々に徐々に本当に長期戦でやるのであれば、南部にいったん避難した人たちのケアは、国際社会がやるにしても、その条件をつくるのはイスラエルの仕事だ。

安保理で日本はいま非常任理事国のメンバーだ。常任理事国がなかなか決議案をつくれないのであれば、非常任理事国10カ国がやる。いま集まって決議案を作ろうということになっている。やはりルールに基づく戦いというのを前面に出さないと、日本として「法の支配」とあれほど言っておきながら、北朝鮮、ウクライナ(戦争でのロシア)、イスラエル、整合性が取れなくなる。そこは大事だ。

橋下氏:簡単に「中東の現実を」というのを日本社会においては絶対言ってはいけない。これから防衛力を強化し、強大な武器を政治に与える以上は、日本社会で積み上げられてきた、この自衛権の行使についてのルールだけは絶対に現実で歪めてはいけない、ということは言い続けなければいけない。

佐藤氏:本来、日本としてはそうだ。

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