ガザ地区では保育器の乳児が電気がなく死に直面 イスラエルはガザ地区に燃料支援を認めない意向

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佐藤氏:実際に2014年時は大きな犠牲が出ている。イスラエルはできるだけトンネルには入りたくない。人質がいなければ、一番簡単なのは海水をどんどん中に入れること。そうすれば弾薬は全部湿気ってしまうから。人質がいたらなかなかそれができない。ガスや煙を使う手もあるが、ナチスのこともあり、それもなかなかできない。できるだけ(トンネルに)入らず、向こうが出てきたところをたたくのが一番犠牲は少ない。そのかわり時間はかかる。今回の戦いは、包囲環をつくってどんどん狭めていくという戦いではなくて、少しずつ地歩を確保しながらトンネルから出てきた戦闘員をたたく、あるいは地歩を固めてトンネルがないかどうか調べながらゆっくり進む。大規模な地上戦闘というイメージとは違う戦いをやれば、犠牲は少なくできる。ただ、時間はかかる。だから(イスラエルとしては)いま電気や燃料は絶対にハマスにやりたくない。電気や燃料がなければ、地下施設は(換気ができず)炭酸ガスがたまって居れなくなるから。ということもあり、トンネル戦は非常に長期戦を覚悟した戦いになると思う。

人質解放の交渉は地上作戦を止める要因になりうるか

松山キャスター:人質解放への交渉はイスラエルの地上侵攻作戦を止める要因にどれくらいなりうるのか。

(写真:FNNプライムオンライン)

佐藤氏:現時点としてはかなり少ないと思っている。すでにこの交渉が失敗したから、地上作戦が挙国一致内閣で決まり、一昨日(27日)から始まったわけなので、その前の段階であれば、いろいろやりとりはあったと思うが、もう地上作戦が始まった段階では大きな要素にならない。若干条件闘争はあるかもしれないが、これがあるから地上作戦をやめるということではない。あくまでも作戦目的はハマスの軍事力、主要な要人と軍事インフラ、ロケット砲をつくる工場や弾薬庫を潰すのが目的だろう。とくにイスラエルにはトラウマがある。以前、イスラエルの軍人1人とパレスチナ人囚人1000人ぐらいとで交換したことがある。交換して釈放した人物の1人がヤヒヤ・シンワル氏、今のガザ地区のハマス指導者だ。解放した結果、ハマスが今回こういう大規模攻撃をしたというトラウマがあるので、そんなに簡単に今回人質があるから地上作戦を止める、手加減するということは二の次だと思う。

松山キャスター:人質の多くは地下に巡らされたトンネル内にいるという状況があるようだということを考えると、イスラエルの地上作戦はなかなか厳しい状況に置かれることもあると思うが。

(写真:FNNプライムオンライン)

宮田律氏(現代イスラム研究センター理事長):イスラエルは建国以来人質をとられることはもう何回も経験している。だから、日頃の軍事作戦の中で人質奪還作戦と、武装集団の殲滅作戦両方を同時進行的に行うような訓練は行ってきた。今回もいわば一挙両得的な作戦を考えているのかもしれない。

松山キャスター:佐藤さんの話だと、地上侵攻と言っても、一斉にワーッと行くという感じではなく、徐々に徐々に地上作戦が進んで行くようだ。地上作戦が進めば進むほど民間人の犠牲への懸念も強まる。

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