ハイテク業界が「女の園」となる日はくるか 米大学が女性エンジニア育成に躍起

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ワシントン大学では、昨年コンピュータ科学の学士号を取得した人のうち、30%が女性だった。しかし、同大学でコンピュータ科学と工学の学部長を務めるエド・ラゾウスカは、30%は「あまりいい数字ではない」と言う。それでも、これは全米平均の2倍であり、同大学の過去の数字と比較しても、2010年の20%、2005年の15%からの上昇である。

多様化する学生のための3つの施策

ラゾウスカによると、ワシントン大学はコンピュータ科学を学ぶ学生の多様化のため、大きな施策を3つ行ったという。

そのうちのひとつは、女性に早い段階からコンピュータ科学に興味を持ってもらうことだ。ワークショップや校外見学などを実施して、小学校や中学、高校の教師や生徒たちにコンピュータ科学について教えるのである。州立の大学は近隣の高校から学生を集めることが多いため、こうした方法は特に大きな効果をもたらす。

それでも、カーンがそうだったように、生徒たち、特に少女たちは大学入学以前にコンピュータ科学に触れる機会があまりない。

そこで、ワシントン大学は数年前に入門クラスを大幅に改革した。学部長のラゾウスカによると、改革に際しての目標はコンピュータ科学の敷居を低くし、より幅広い人が魅力を感じるものにすることだったという。入門クラスでは、難しい知識や生まれつきの才能は必要なく、一生懸命に勉強すれば大丈夫だと示した。

新しいプログラムには、教授陣を交えた少人数グループでのセッションや、ソフトウェアのプログラミングを哲学や生物学などと結び付ける授業などがあり、現実世界での活用にも重点が置かれている。授業助手(TA)の40%が女性であり、コンピュータ科学に関わる女性についてのセミナーも開かれる。

また、ワシントン大学ではこの分野について学ぶ女性たちの間に連帯感を育もうともしている。そのために、女子学生にテクノロジー企業を訪問させたり、コンピュータ業界の女性による会議に参加させたりして、この分野で働く女性たちと会う機会を提供している。

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