このような状況が続くと、高橋さんはプロジェクトだけでなく良質な人生経験を得るチャンスを逃し続け、処理可能感を高めるきっかけをつかめないことになります。
高橋さんのように、子ども時代に親と親密な人間関係をつくれなかった人は、成長過程において心理的に安全な場所(家庭)がなかったと言います。つまり「安全基地」と言われるものをもたなかったのです。
成長過程で親との間に安全基地をもてなかった人は、大人になったときに“心の安全基地”のつくり方がわからなかったりします。
大人になってからの安全基地は、自分にとってだけ安全で居心地がいいのではなく、お互いが共感し合う良質なコミュニケーションをとっていく場所です。
「安全基地」と言えるほどの人間関係を築くのはとても難しいことですが、一人でも二人でも自分が話しやすそうな人、自分とお互いに良質なコミュニケーションがとれそうな人を探してみることは大切です。職場で安全基地のような存在の人がつくれると、高橋さんの状況も変わっていくのではないでしょうか。
「誰かに頼る」「助けてもらう」
また、高橋さんのような、どこかで自分を信じる力が弱いタイプは、未来に対してネガティブなイメージをもつことがあり、なかなか行動に移せないことがあります。
「自分の足と頭を頼りに販路を拡大してきた」のに、高橋さんは満足のいく結果を得られていません。一方で、苦労をせずに上司や先輩から取引先を紹介してもらって実績を上げている吉田さんのような行動をとることは避けています。
「誰かに頼る」「助けてもらう」という行動を避けていてうまくいかないときは、深く考えずに吉田さんのような行動をとってみることも必要です。
高橋さんの場合、「上司に『いろいろ勉強させてください』と言って教えてもらう」「先輩に『こういうときどうしたらいいですか?』と聞いてみる」などの、今までとらなかった行動をとってみるといいかもしれません。
行動してみた結果、うまくいかないことももちろんあると思います。ですが、何度か行動を積み重ねるうちに、必ず「教えてもらってうまくいった」「助けてもらってうまくいった」という成功体験も積むことができます。
こうした経験を重ねることで、「人脈」からくる処理可能感が育まれていくのではないでしょうか。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら