中学受験は、彼らのプライドを満たすのに十分な有名付属中学に合格し、エスカレーターで大学まで行って卒業しました。しかし、就職活動はうまくいかず、そこそこの規模の企業へは就職したものの、私はいつからか自分のキャラで損をしていることが多いと思うようになりました。
大学生活を楽しもうとサークルに入ったときも、幹事や会計係などを引き受けたことで懇親会では気が抜けませんでした。勉強も就職活動も人一倍がんばりましたが、苦労したわりには納得のいく成果が得られませんでした。ほかのみんなは適度に息抜きをし、いろいろな人の助けを借りながら要領よくやっていたように思います。
私の場合は、友人はもちろん親や教師にも助けを求めるのが苦手で、大丈夫なふりだけは人一倍上手でした。私の存在価値は、みんなが嫌なことを引き受けることにあり、それを断ったら自分の存在価値がなくなると内心ビクビクしていました。
就職してからずっと今の職場ですが、世の中は理不尽だと思うことが多々あります。私は、同期の吉田さん(仮名、男性)とずっと同じ営業部ですが、彼は来月の人事異動で栄転して管理職になるようです。私は、吉田さんの栄転を心から喜べずにいて、そんな自分を嫌だなと思っています。
私が彼の栄転を喜べないのは、自分は彼よりもよい大学を出ているし、仕事を覚えるのも自分のほうが早く、彼をいろいろと手伝ってきたのに……という思いがあるからです。
それに私は自分の足と頭を頼りに販路を拡大してきましたが、人に頼るのが上手な吉田さんは、私のような苦労をせずに、上司や先輩から取引先を紹介してもらって実績を上げています。
いずれ努力が報われるのは自分だろうと思ってがんばってきましたが、私はどこかで自分を信じられずにいたのも確かです。
「なんとかなる」と思える力に重要な人間関係
高橋さんの場合、子ども時代に物理的または精神的に、親と健全につながることができなかったため、他者とのつながり方がわからなかったのでしょう。愛情不足の家庭で育ったり、あるいは逆に過干渉の家庭で育ったりしたケースで、このような人が多いとされています。
彼らは、このような家庭環境に身を置いているうちに他者との深いつながりをもつ機会を逃しているのです。そのため、人と親密になることに恐れや不安を抱き、親密な関係性になることを回避するようになり、人間関係において親密さや愛情を求めないことでバランスをとるようになります。
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