売れる「営業マン」の"共通ナルホド思考"はこの3つ 商品を売ろうとすればするほど売れなくなる訳

拡大
縮小
・苦戦している営業の場合
「こちらの収納は幅2メートル×奥行30センチになっております。収納扉は高級感があります」といった商品情報や誰でもわかる話をします。
・売れる営業の場合
「リビングは収納場所が1カ所あり、奥行は30センチですが幅が2メートルもあるので、ここにはお子さんのゲームやおもちゃを収納したり、ジャケットなど、さまざまに収納できますよ」と説明します。

とても小さな違いですが、売れる営業のトークには「それで何が解決するか」が明確に含まれています。

こう言われたお客様はこれからの暮らしをイメージするヒントになります。「そうそう、今住んでいるアパートは収納が少ないの。だからゲームとか服とか散らかっちゃうのよね」といった話につながり、新しい情報を引き出せることもあるでしょう。

「お客様の悩みをどう解決するか」という視点

お客様の悩みが直接解決していなくても、別の切り口から徐々に解決につなげることもできます。

商品情報を話すのではなく、「お客様の悩みをどう解決するか」という視点で徹底的に考えていくことが重要です。

今まであまり考えずにしていたトークを一度チェックしてみてください。そこに解決策が含まれていないのでしたら、考えて追加してみましょう。それだけで何倍も効果的なトークに生まれ変わります。

②メリットだけを伝えない

メリットだけを伝えていれば売れるわけではありません。ときにはデメリットも伝えることも肝要です。その理由は、お客様は無知ではなく「すべてにおいて完璧な商品などない」と知っているからです。

それにもかかわらず多くの苦戦する営業は「当社の商品の性能は他社と比較してもずば抜けており、コストパフォーマンスも最高です」といった偏ったトークをしています。

しかもそれが原因で結果が出ていないことに気づいていません。メリットばかりを伝えていると、お客様から「この営業は本当のことを教えてくれないんだな」と思われてしまいます。

さらにあとから「こんなデメリット知らなかった」とクレームを受ける種にもなりかねません。

『影響力の武器 実践編』(誠信書房)の中で述べられている社会科学者のゲルト・ボーナーらの研究では、デメリットを交えてトークすることの重要性を教えてくれます。

「ボーナーはあるレストランの広告を三種類作りました。一つ目にはくつろいだ雰囲気など、プラス面だけを載せました。二つ目にはプラス面とそれに無関係なマイナス面を載せ、当店はくつろいだ雰囲気ですが専用駐車場はありません、としました。三つ目にはマイナス面とそれに関係したプラス面を載せ、当店は狭いですがくつろいだ雰囲気です、というようなメッセージにしました。―中略―二種類の両面的メッセージは、ともにレストランオーナーへの信用を向上させましたが、レストランの評価が最も高かったのは、三番目のプラス面とマイナス面に関連性があるメッセージでした」

以上をまとめてみます。

①メリットのみのせた
②メリットとそれに無関係なデメリットをのせた
③メリットとそれに関係したデメリットをのせた

②③はともに信頼が増したが、③の「メリットとそれに関係したデメリットをのせた」場合はレストランの評価自体も上がったのです。

多くのお客様は隠し事やごまかしを好みません。どんな商品にも弱点というものはあるでしょう。

次ページデメリットを補うようなメリットとセットで伝える
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT