岸田政権の台湾政策を支える「ネオ台湾派」の台頭 「リベラル」母体の新勢力の認識は正しいのか
いま世界で起きている最大の変化は、欧米が主導してきた世界秩序に「パラダイム」(支配的規範)転換が始まっていることにある。アメリカ中心の主要先進7カ国(G7)は、もはや世界秩序を主導できず、それに代わって多極化が進み新興・途上国を意味するグローバルサウスの発言力が高まる。
ウクライナ危機に続いて「ハマス・イスラエル紛争」が発生しても、アメリカは有効な手を打てないほど衰退が目立つ。中国は、外交と経済協力の軸足をブラジルやロシア、インド、中国、南アフリカのBRICSに移し始めた 。
日本の政治家は世界情勢をみつめよ
多くのグローバルサウス諸国は、中国が主張する「一つの中国」原則を守る意思を鮮明にしている。彼らにとり台湾をめぐる米中対立は、主要な関心事ではない。
安倍政権から菅、岸田政権に至るまで政権与党は、バイデン政権の意向に忠実に従い、日米安保を「対中同盟」に変質させ、台湾問題に主体的に関与する政策転換を展開してきた。
台湾問題の先行きをみれば、2024年1月の台湾総統選挙をはじめ同年11月のアメリカ大統領選挙などで政権交代が起きれば、日米戦略が一夜にして崩壊する「変数」になる。それにも増してウクライナやパレスチナ問題という現実的な危機の発生によって、作られた危機の側面が強い「台湾有事」の虚構性は次第にあらわになるはずだ。
虚構の台湾有事によって生まれた「ネオ台湾派」の命運は、アメリカ追従以外に選択肢を持たない岸田政権と並んで、パラダイム転換時代の「あだ花」に終わる恐れすらある。
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