高齢化で注目を集める意外な「シニアビジネス」 シニア層の消費を後押しするモノとは一体?

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政府による後押しもありました。デジタル化の恩恵を社会全体で共有できるように、2021年からネット環境の「シニアユーザーフレンドリー改善活動」が行われています。

ネット空間でも「バリアフリー」を実現させようとしているのです。大きいフォントの使用やシンプルなページ設計、わかりやすい機能、広告遮断など、シニア世代にとって使いやすいネット環境を提供し、シニア版アプリ開発を推し進めています。

各地方政府によるシニア向けのオンライン行政サービスの改善も進んでいます。シニア専用のページを開設し、シニア世代がよく使用する機能を集結させたり、顔認証による手続きや音声認識による入力機能などが整備されたりするようになっています。

各社のシニア向けサービス

・テンセント

SNS最大手のテンセントはシルバーテクノロジー実験室を中心にシニア向けのアプリ開発を進めています。2021年にはウィーチャットでシニア専用ミニプログラム「シルバー青松アシスタント」をリリースしました。

スマートフォンにある様々なサービスの使い方の説明をはじめ、健康コードの提示、公共料金の支払い、フードデリバリーなどよく使われるサービスを一覧で提供するようにしています。シニア世代にとっては「シルバー青松アシスタント」だけで日常生活の需要を満たすことができるわけです。

・アリババ

アリババはキャッシュレス決済サービスのアリペイをはじめ、すべてのアプリにおいて、シニア用の簡易版を打ち出しています。特に、2020年からタオバオにて、シニア世代が興味を持つものだけを販売するバージョンを開発し、シニア世代のオンライン購買意欲を喚起し、同社のユーザー増と売上増につなげています。

このほかにも、シニア向けのコンテンツを放送するアプリ「雲聴楽齢(ユーンティンラリン)」やシニア向けの健康・美容・ファッション関連情報を発信するアプリ「花様百姓(ファヤンバイシン)」なども順調に成長しています。中国でシニア世代のデジタルサービス活用が非常に活発になっているのです。

企業にとってはデジタルデバイドの解消が従来の課題ですが、ここにきて、それだけでなくシニアを積極的に取り込んでビジネスの拡大に力を入れる企業が増えています。進む高齢化に歯止めをかけるのは難しいですが、シニア世代をオンラインサービスと結びつけることによって、新天地を開拓することはできます。シニア世代の増加に伴って新たに大きな市場が誕生すると考えても良いでしょう。

趙 瑋琳 伊藤忠総研 産業調査センター 主任研究員

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チョウ イーリン / Weilin Zhao

中国遼寧省出身。2002年に来日。2008年東京工業大学大学院社会理工学研究科修了、イノベーションの制度論、技術経済学にて博士号取得。早稲田大学商学学術院総合研究所、富士通総研を経て2019年9月より現職。情報通信、デジタルイノベーションと社会・経済への影響、プラットフォーマーとテックベンチャー企業などに関する研究を行っている。論文・執筆・講演多数。著書に『BATHの企業戦略分析―バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイの全容』(日経BP社)。

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