高齢化で注目を集める意外な「シニアビジネス」 シニア層の消費を後押しするモノとは一体?
また、ショート動画配信大手の「快手」のショート動画には数百万人のフォロワーを擁するおばあちゃんインフルエンサーが多くいます。シニアならではの人生観や、長い人生を生きる知恵、地に足のついた動画は人気を博し、大きな影響力を持っているのです。
“デジタル”シニア世代が増えている
ここまで触れてきたように、本稿で特筆したいのは中国におけるデジタルシニアの増加とそれがもたらす新たな市場の可能性です。介護・ケア用品やサービスなど、高齢化が進んでいる国々で従来あった「銀髪消費」に関する一般的な議論や、デジタルデバイド問題の対象となるシニアについてではなく、デジタル時代の進化とともに増加する前向きなシニア世代にフォーカスしたいと思います。
中国では格安スマートフォンの普及が追い風となって、シニア世代のインターネット・アクセスへのハードルを下げました。2021年末時点で60歳以上のネットユーザーは約1億1900万人で、ネットショッピングができる割合、オンラインでの情報収集ができる割合は、それぞれ52.1%、46.2%となっています。50歳以上を対象とすると、2021年10月のアクティブネットユーザーは2億5100万人で前年同期比19.3%増加しています。
このように、デジタル機器やデジタルサービスの活用で人生をより楽しもうと考えるシニアが増え、政府と企業も積極的にサポートするための取り組みを行っています。ではなぜ、中国に、デジタル機器やサービスの活用に前向きなシニアが増えたのでしょうか。
タクシー配車アプリやQRコード快適決済などが一気に普及した時期、中国はスマートフォンを使いこなせないシニアにとってフレンドリーではない生活環境でした。その中で2020年、多くのシニアがコロナ禍で感染リスクを示す健康コードを活用できないなどの現実問題に直面しました。
けれどもそれが1つのきっかけとなり、大きな変化が起きます。
まず、時代の進化に乗り遅れないように、デジタルサービスを便利なツールとして積極的に受け入れようとする意欲がシニア世代にも生まれました。
次に、家庭内のデジタル教育が、デジタルシニアの増加に一役買いました。息子や娘、孫に、ウィーチャットなどのよく使われるアプリの使い方を教わったケースが多かったのです。そして、デジタルサービスを活用する楽しさを体験し、さらなる利用を促す好循環が生み出されています。
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