日本の583系も展示、動き出す台湾「鉄道博物館」 JR東から譲渡受け所蔵車に、2027年開業目指す

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――今回は台湾鉄路管理局と共同で限定駅弁を製作、販売しましたが、これはオープン後も行う予定でしょうか。また、連日即完売となりましたが供給体制などは大丈夫なのでしょうか。

これはオープン後も実施予定。食堂車の中で駅弁や当時の食堂車のメニューを体験してもらいたいと考えている。実際、当時の食器のレプリカなどを製作できる技術もある。販売数については、基本的には前日にプレオーダーしてもらう形で進めることで、安定的に供給したい。また、商業施設が入る松山文創園区などリノベーションスポットと隣接しているので食事やショッピングはそちらにも足を運んでいただきたいというスタンスだ(実際、台湾の代表的駅弁である台鉄弁当は価格と味が支持され、平日でも開店前から行列ができ、人気メニューはすぐ売り切れてしまう)。

台湾鉄道博物館 オリジナル弁当
今回のイベントに合わせ、台鉄弁当とタイアップし製作されたオリジナル弁当(写真提供:国家鉄道博物館籌備所)

――日本統治時代の建築物や日本製車両も多く収蔵され、日本人観光客の興味も惹くと考えられますが、日本語向けの解説など多言語対応の予定はあるのでしょうか。

識別性の観点から案内ボードは基本的に中国語と英語での紹介を予定しているが、タイトルは多言語にするなど対応していきたい。また、QRコードを読み取っての解説や音声プログラムなどで補う工夫をしていきたいと考えている。

「オープンな施設」を目指す

博物館の周辺は、「台北101」をはじめとする高層ビルが立ち並び、台北のマンハッタンと呼ばれる信義エリアやたばこ工場をリノベーションしたスポット、台湾を代表するナイトマーケットでもある饒河街夜市などがいずれも徒歩圏内に立地し、観光客も訪れやすいエリアだ。付近の道路には廃止線の痕跡も見られ、新旧が混在する光景を味わえる魅力がある。

博物館となる松山機廠
国家鉄道博物館となる台北機廠の敷地(写真提供:国家鉄道博物館籌備所)

博物館は6カ所のゲートを設け、周辺地域にオープンな空間を目指すとしている。現時点で車両を見学するには事前予約が必要で、観光客には少しハードルが高い施設だが、オープンまであと4年、どういったアップデートを重ね、より「生きた」姿を見せてくれるのか、期待が高まる。

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小井関 遼太郎 東アジアライター

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こいぜき りょうたろう / Ryotaro Koizeki

台湾北部在住。観光や都市政策を中心に研究を進めている他、台湾のガイド資格などを保有しており現地事情に精通。台湾から見た東アジア情勢を中心に発信している。
E-mail : ryo120106@gmail.com
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