日本の583系も展示、動き出す台湾「鉄道博物館」 JR東から譲渡受け所蔵車に、2027年開業目指す
その後、2017年には政府機関である文化部が博物館整備を担当する「国家鉄道博物館籌備所」を設立。施設内の従業員用大浴場跡を使用した常設展のほか、総弁公室(事務室)跡を徐々に常時開放し、2027年をメドに車両も含めた常設の展示施設をオープンする見通しだ。
台北にはほかにも、日本統治時代の台北機廠の前身であり、その後は鉄道部の庁舎として使用されてきた台北駅横にある建物を利用した、国立台湾博物館が運営する鉄道パークが設けられている。こちらはジオラマや解体品などを利用した展示が多い中、開業準備が進む国家鉄道博物館はその違いを「生きる博物館」と表現する。その違いはどこに見えるのか。今回のプレ公開でその姿が明らかになってきた。
注目を集めた動態保存の日本製気動車
台北市は在来線の全線が地下化されており、地上で線路を見ることができる国家鉄道博物館はかつての風景を残す貴重なスポットだ。今回は、そんな構内を動態保存されている気動車が来場者を乗せて走った。400mを5分間かけゆっくりと走る光景は大きな注目の的となり、整理券は即完売した。
この気動車はDR2300と呼ばれ、前身は戦前の1935年に台湾総督府が購入したキハ300、キハ400と呼ばれるガソリンカーであり、国鉄キハ07形気動車をベースとした丸みのある前面形状が特徴の車両だった。戦後は、アメリカの支援でカミンズ製のディーゼルエンジンに付け替え、1990年代後半まで淡水線や新竹の内湾線など北部の支線を中心に活躍してきた。改造を経ているとはいえ、製造から88年近い車両が動態保存で残っているのは珍しいだろう。
今回、走行したのは同博物館に所蔵されている同系列2両のうちの1両で、これは1984年の3回目の改造時の姿に復元したものだ。残りの1両は1990年代の晩年の姿に復元を進めている。これは長きにわたって活躍した車両の時期による違いを比較してもらうことで、多くの世代に親しんでもらい、記憶を継承していきたいという狙いがある。また、1両目での整備の経験を反映させることでより修復の際のリスクの低減を図っている。
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