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「パレスチナ紛争」を語る日本人に欠けている視点 パレスチナをこんなにしたのは誰なのか

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  • 高橋 宗瑠 大阪女学院大学・大学院教授(人権・平和)
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悪化の一途をたどる西岸の情勢も、無視できません。殺害や正当な理由のない逮捕や拷問なども、西岸に暮らすパレスチナ人にとっては日常茶飯事と言えます。今回のハマスの攻撃の背景には、このようなイスラエルによる封鎖や抑圧、国際法違反や人権侵害があります。

平和的に抗議するパレスチナ人を狙撃

ガザの難民には、境界線近くの家を1948年に追放された家族の人が多数います。本人たちがソーシャルメディアに投稿した動画などを見ると、7日の攻撃に参加したハマスの戦闘員には、境界線近くの家を1948年に追放されたそのような家族の出身者が少なくないとようです。

難民の彼らは、一時的にも自分の家に帰ることがイスラエルに許されていません。イスラエルによって「侵入者」との烙印を押されていますが、彼らにしてみると、自分の土地を取り戻す意識が強いのは当然と言えます。

一般市民を狙い撃ちするのはもちろん看過できませんが、それはハマスだけでなく、イスラエルも同様です。封鎖後今までも数回あったガザへの大規模侵攻で合計4000人近くものパレスチナ人の犠牲が強いられており、イスラエルは国際法を無視して、非戦闘員や、発電所、水処理所など民間施設の攻撃などを繰り返しています。

2018年3月から2019年12月までほぼ毎週イスラエルとの国境近くで大規模な抗議集会が行われましたが、イスラエル兵は実弾で平和的に抗議するパレスチナ人を狙撃し、合計200人以上が殺害されました。

この度のガザの空爆もイスラエルは「正確さより破壊力が優先」と公言して、一般市民の犠牲をいとわない絨毯爆撃とさえ言えます。避難所になっている国連の学校や、イスラエルが出した避難命令で逃れる市民も爆撃されています。そして、何よりも過酷な封鎖自体が集団懲罰であり、国際法違反といえます。

今回の攻撃でいつにも増してイスラエルに露骨に肩入れする欧米は、政治的、そしてとくにアメリカは軍事的支援を強化しています。また、幾分か後退する可能性が強いですが、アラブ諸国にも長年の方針を転換して、イスラエルと国交を正常化する国が出てきています。

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【今後の展望、そして日本の経済人に求めること】

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