「パレスチナ紛争」を語る日本人に欠けている視点 パレスチナをこんなにしたのは誰なのか

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1947年後半から1948年のイスラエル建国宣言後の「第1次中東戦争」の間にユダヤ人自警団(後のイスラエル軍の母体)が武力でパレスチナ人を追放して、パレスチナ人人口の3分の2が難民となってパレスチナ内外に逃れることを余儀なくされました。

イスラエルは現在に至るまでパレスチナ難民の帰還をいっさい許さず、世界中から募ったユダヤ人移住者にそれらの家や土地を分配しています。難民の帰還の権利は国際的に認められており、いくつもの国連決議などでも明文化されていますが、イスラエルは頑なに拒否しています。

国際法違反の入植活動を続けている

そして1967年の「第3次中東戦争」でパレスチナの残り(東エルサレムを含む「西岸」と「ガザ」)を軍事占領したあとも、一貫して、パレスチナ人を追放して土地を収奪して、国際法違反の入植活動、国際人権基準を無視した抑圧を続けています。

ユダヤ人はあらゆる意味で優遇されて人権が保障され、パレスチナ人は法律に基づいても権利が守られない状況で、例えばヨルダン川西岸のユダヤ人入植者にはイスラエルの通常法、パレスチナ人にはイスラエルの軍法が適用されます。

昨今、アムネスティ・インターナショナルやヒューマンライツウォッチなど世界的に著名な国際人権団体がついにイスラエルの差別的な政策を、人道に対する犯罪である「アパルトヘイト」と認定したほどです。

すなわち、パレスチナ紛争は外国人の植民地支配に対する、民族の独立運動と理解する必要があります。独立運動にはさまざまな形態がありますが、当然武力抵抗もその1つです。

「暴力はいけない」と考える日本人は少なくないのですが、植民地支配に対する抵抗は国際法で正当と認められており、パレスチナ民族の当然の権利といえます。もちろん、今回のハマスの攻撃は戦闘員でなく一般市民を狙ったもののようなので、国際法違反として批判されてしかるべきです。しかし、個人的に暴力を推奨するつもりはもちろんありませんが、話し合いだけで独立できるほど、世の中は甘くありません。

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