家庭の弁当「ブドウ球菌・セレウス菌」から守る術 吉田屋「駅弁食中毒問題」から学ぶ注意点と対策

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黄色ブドウ球菌は、食中毒の原因として昔からよく知られるありふれた菌だ。食品従事者の手や指に2〜5%、鼻の穴付近に10〜30%、糞便の20%に見られるほか、冷蔵庫やレンジの取っ手など生活環境に広く存在する。

また、黄色ブドウ球菌は化膿を起こす病原菌であり、化膿した手指などは特に注意を必要とする。

原因食品を喫食後、1〜5時間の潜伏時間を経て、吐き気・嘔吐の症状が出て、下痢を起こすこともある。原因となるのが、黄色ブドウ球菌が産生する“エンテロトキシン”という毒素。菌数が10万個以上になると、食品中に産生されたエンテロトキシンによって、食中毒が起こる。

ありふれた菌でもある黄色ブドウ球菌の電子顕微鏡写真(写真:一般財団法人東京顕微鏡院提供)

豆類や野菜に付着するセレウス菌

一方、セレウス菌は土の中に棲んでいる細菌で、環境や加熱に抵抗性がある芽胞(がほう)を作る。土壌で育つ穀類や豆類、野菜、果物、ナッツ類、香辛料などに多く付着している。人や動物の腸にも存在し、生乳でも確認されている。

セレウス菌には下痢型と嘔吐型があり、日本で報告されているセレウス菌食中毒のほとんどは嘔吐型だ。食品中に産生された“セレウリド”という毒素が食中毒を引き起こす。

伊藤氏は「嘔吐型の症状は黄色ブドウ球菌食中毒の症状と類似しており、見分けはつきづらい」と説明する。

セレウス菌の顕微鏡写真。細長く青い物体が芽胞。100℃以上の加熱でも死滅しない(写真:一般財団法人東京顕微鏡院提供)
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