なるか、ならないか原因の3分の1は運--『がんの練習帳』を書いた中川恵一氏(東京大学医学部附属病院放射線科准教授)に聞く

なるか、ならないか原因の3分の1は運--『がんの練習帳』を書いた中川恵一氏(東京大学医学部附属病院放射線科准教授)に聞く

日本人の死因トップになった、がん。それだけに、死のイメージが強く、知識を得ることさえ忌避しがち。が、練習しておけば「憂いなし」と説く。

──なぜ、がんに練習が必要なのですか。

今、日本人の2人に1人ががんになる。男の場合は、6割以上ともっと比率が高い。いわば世界一の「がん大国」。だが、がんになることを前提に生きなければならない割りに、よく知らない。人生を最も脅かすものに対して、なぜ練習しないのか。

人は人生の重要な局面で必ず練習をする。たとえば受験など。死というものが人生最大のイベントであり、いちばん大事な命を絶つものならば、その前にもっと練習しなければ。それが、がんへの最高の備えにもなる。

──がんについて、即、死のイメージを持ちがちです。

がんの治癒率は半分、逆にいうと半分は再発する。再発=死だから、再発した後になってからこういう選択肢があったのかと気づくとすれば、医者としてたいへんつらい。私は26年、多くの方を看取ってきた。あれよあれよという間に最期を迎え、その死に納得できない人も多い。死を思い描くことはできないかもしれないが、1回しか死ねない。もちろん死んだら生き返れない。生きている間に、その人らしい有終の美を飾れる準備をしたいものだ。

もともと日本人は、意識として死から遠ざかろうとしがち。死に対する隠蔽性が高い。養老孟司氏風に言えば、死ぬつもりがない。でも、がんはその死の原因の代表なのだ。関係ないと思わず、がんにならざるをえないのなら、よく知っておこう、と思うのが本来の態度だろう。

──日本では手術が多いですね。

たとえば子宮頸がん。日本では8割が手術で治療するのに対し、欧米では逆に8割が放射線治療。どちらも同じ治癒率なので、日本が間違っているわけではない。しかし、放射線治療は通院でも受けられる。手術のほうは入院しなければならない。当然かかるお金も違う。

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