就任時から決まっていた「名ばかり議長」の運命 カオスなアメリカ政治、再び「政府閉鎖」の危機
だが、そもそもホワイトハウスと上院を民主党が握る中、マッカーシー氏には保守強硬派の要望に応じた法案は可決できず、下院でも超党派で合意できる法案でなければ成立は困難であった。
つまり就任時点から、同氏が解任される運命は決まっていたともいえよう。
超党派で法案可決を強行するマッカーシー氏が議長職を維持するには、民主党による協力が不可欠であった。トランプ前大統領が2020年大統領選で勝利した選挙区出身の民主党穏健派の議員5人がマッカーシー氏を救うことが期待された。
民主党穏健派の支持を失っていた
だが、民主党は誰一人、マッカーシー氏解任に反対票を投じなかった。マッカーシー氏はすでに民主党から信頼を失っていたからだ。
2021年連邦議会乱入事件後にトランプ氏を批判したマッカーシー氏だが、その後、態度を一変し、トランプ氏を擁護。直近ではバイデン大統領の弾劾調査開始を指示。またマッカーシー氏は政府閉鎖回避後に民主党を批判するなど、党派色を前面に出してきたことで、再選が危うい民主党穏健派の支持まで失った。
マッカーシー氏解任劇の背景には、アメリカ政治に起きている地殻変動もある。保守強硬派は2015年にジョン・ベイナー下院議長を退任に追いやり、後任のポール・ライアン下院議長をも悩まし、実質退任に追いやったと見られている。
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