そごう・西武売却のセブン&アイ、売上増のナゼ 決算書から見えた「大型買収」の威力とは?

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国内はFC店収入が89%である(6)のに対し、海外はわずか4%程度(7)。売上のなんと78%をガソリン(8)が占めています。FC店収入はロイヤリティなので原価が発生しない一方、ガソリン売上は約9割が原価として計上されます。そのため、売上段階では約10倍あった国内と海外事業の差は、原価を差し引いた営業総利益の段階で約2倍にまで縮まっています(9)。

さらに、直営店が多い海外コンビニ事業は、国内事業に比べ特に人件費(10)などの販管費が多め(11)。その結果、営業利益の差は1637億円にまで縮まり(12)、利益率では国内事業のほうが圧倒的に高くなります(13)。

増収なのに同社の収益性が低下したのは、利益率の低い海外事業の売上割合が増え、FC店が多く利益率が高い国内事業の割合が低下したことが理由だったのです。同社は今後、食を中心とするオリジナル商品を強化し、海外事業の収益性を上げる計画です。

では、ほかの事業はどうでしょうか。

(出所:「100分でわかる! 決算書『分析』超入門 2024」)

イトーヨーカ堂等のスーパーストアと、売却が決定されたそごう・西武等の百貨店専門店の売上はいずれも前期から大幅減(14)(15)、営業利益率は1%を下回る(16)(17)など、全社収益の足を引っ張っています。他方、金融事業は利益率が高く、営業収益(18)、営業利益(19)ともに、前期からほぼ変わらず堅調です。

買収で体は1.5倍に巨大化 より筋肉質な体つきに変化する

21年5月のスピードウェイ社の買収は、体つき(資産構成)にも大きな変化を与えています。貸借対照表をみてみましょう。

(出所:「100分でわかる! 決算書『分析』超入門 2024」)

当期の総資産は10.6兆円で、2年前から1.5倍に増加(20)。内訳をみると、流動資産は8.6%減少した(21)のに対し、固定資産は約2倍に増えています(22)。巨大化しただけでなく、筋肉質な体に変化したことがわかります。

流動資産の減少は、買収に伴い現預金が7685億円減少した(23)ことが主因です。対して固定資産は、買収により建物や土地(24)を取得したことで、有形固定資産が約2倍に増加(25)。さらに無形固定資産は3.7倍に増えました(26)。このうち約8割を占めるのが、のれん(27)です。スピードウェイ社の買収により、のれん額が3500億円から1.7兆円まで跳ね上がっていることからも、同社が巨額買収で勝負手を打ったことが読み取れます。

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