そごう・西武売却のセブン&アイ、売上増のナゼ 決算書から見えた「大型買収」の威力とは?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

驚異的な売上を叩き出す海外コンビニ事業の実態とは?

コンビニとしてなじみ深い同社ですが、それ以外にもスーパーストア、百貨店、金融など6つの事業を展開。決算書も、これらのセグメントに分けて分析していきます。

まずは損益計算書です。

※2 営業収益は「FC店からの手数料収入(ロイヤリティ)+直営店の売上」で、セブン&アイHDの実質的な売上を表す。ただし、損益計算書上は、売上高は「直営店のみの売上」を計上しており、ここから売上原価を引いた売上総利益に、営業収入として「FC店からの手数料収入」を足し戻して表示している(出所:「100分でわかる! 決算書『分析』超入門 2024」)

当期の営業収益(全体の売上)は約11.8兆円で、2年前と比べ約2倍と驚異的な増え方をしています(1)。また、営業利益は2年前と比較し38.2%増の5065億円(2)、最終利益は2810億円で過去最高益を達成(3)し、絶好調にみえます。

一方、営業利益率は、2年前から2.1ポイント低下(4)。なぜ収益性が下がったのでしょうか。

事業別の売上の割合をみると、驚くことに75%を海外コンビニ事業が占めています。

※1 営業収益の各セグメントの合計額は、調整によるマイナスを含まないため、損益計算書の営業収益の数値とは異なる(出所:「100分でわかる! 決算書『分析』超入門 2024」)

同社は、21年5月に米3位のコンビニチェーン「スピードウェイ」を約2.3兆円で買収。米国でガソリンスタンド併設型店舗を4000近く増やしました。2年前に比べ全体の売上が激増したのは、買収により海外店舗数が急増し、海外コンビニ事業の売上が急拡大したためなのです。

一方で、収益性低下の謎に迫る鍵はFC店にあります。国内と海外のコンビニ事業の売上構成比をみてみましょう。

※2 国内コンビニ事業はセブン‐イレブン・ジャパン、海外コンビニ事業は22年12月期の7-Eleven, Inc.の数値を決算補足資料より参照。「営業総収入」「営業総利益」などの表記は同資料に基づいている(出所:「100分でわかる! 決算書『分析』超入門 2024」)
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事