マネックス証券「ドコモ傘下入り」をめぐる皮算用 鼻息荒いドコモと「次の一手」模索のマネックス

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マネックスグループの連結から外れるが、マネックス証券の社名は変更しない。社長も現任の清明祐子氏が務めるなど、マネックスのブランドは維持する方向だ。

松本氏は提携に至った理由を、「ネット証券が生き残っていくうえで、プラットフォームとの提携は避けられない」と説明する。

松本大氏は今回の提携について「最高のタイミングと最良の相手」と話した(撮影:尾形文繁)

競争が激化するネット証券業界

2024年1月から始まる新NISAを初めとして、「貯蓄から投資へ」の流れが加速している。一方、今年10月からはSBI証券と楽天証券が国内株の取引手数料無料化に踏み切るなど、ネット証券業界の競争が激化している。

こういった状況下、マネックスグループはドコモと協業することで顧客基盤を強化する。9600万人の会員を持つ「dポイント」や決済サービス「d払い」、電子マネー「iD」などドコモのサービスと連携、比較的金融リテラシーの高い個人が多かった顧客層の裾野を広げていく。

業績への影響はどうか。マネックスグループの2023年3月期の営業収益793億円(IFRS)に対し、マネックス証券単体の営業収益は310億円だった。

持分法適用会社となることで、マネックス証券の営業収益と営業利益はグループ連結に反映されなくなる。見かけ上、マネックスグループの事業規模は大きく縮む。51%の持分に応じた当期利益への反映はあるものの、マネックス証券の上げた利益の半分はドコモのものになってしまう。

それでも、提携効果によってマネックス証券が大きく成長することで利益規模は早期に回復すると、マネックスグループは見通す。

マネックス証券は2023年9月現在、223万口座、預かり資産残高7兆円を抱える。これまでは2026年度に300万口座、預かり資産残高10兆円を目標としてきた。この目標をそれぞれ500万口座、15兆円に引き上げる。

「dポイント経済圏とのシナジーにより、非連続的な成長を達成する」と、マネックス証券の清明社長は力を込める。

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