マネックス証券「ドコモ傘下入り」をめぐる皮算用 鼻息荒いドコモと「次の一手」模索のマネックス

拡大
縮小

ドコモにとっても、マネックスグループとの提携への期待は大きい。ドコモの井伊基之社長は、「初めての人でも、手軽で簡単に資産形成できるサービスを提供する」と意気込む。会見では、「家族」という言葉を何度も使い、「身近なサービスを展開する」と強調した。

ドコモのライバルである通信各社が「auカブコム証券」(au)、「PayPay証券」(ソフトバンク)、「楽天証券」(楽天)という証券会社を傘下に抱える中、ドコモにとって証券サービスは是が非でも欲しい事業だった。

SBIの「1強体制」をどう崩すのか

どこと組むのかは、証券業界でも注目を集めていた。「ドコモが組むとしたら、マネックス証券か松井証券だと思っていた」。ある業界関係者はそう話す。

ドコモの江藤俊弘スマートライフカンパニー統括長は会見後の囲み取材で、「ドコモがせっかくやるのであれば、マネックス証券は数百万口座では物足りない。時期は未定だが、1000万口座を目指したい」と鼻息荒く語った。

ただ、ドコモやマネックスグループのもくろみどおり、マネックス証券が成長できるかどうかは疑問符がつく。

ネット証券と通信プラットフォームとの連携では、先述したようにauやソフトバンクが先行するが、成功しているのは900万口座を超える楽天証券くらい。口座数を積み重ねても、取引量が伸びずに収益面で苦戦する例も目立つ。野村ホールディングスと組んだLINE証券に至っては今年6月、サービス終了に追い込まれた。

手数料無料化の荒波にもさらされている。ネット証券最大手のSBI証券が仕掛けた無料化は、マネックス証券の苦境に追い打ちをかけた。楽天証券は収益面でのダメージを覚悟のうえで追随。一方でマネックス証券と松井証券は、追随すらできなかった。

手数料収入に依存しないビジネスモデルを着々と準備したSBI証券の「1強体制」をどう崩すか。対抗策は見当たらない。

次ページ高値で売却できた?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT