名古屋の中小企業が放つ大人気の鋳物ホーロー鍋

名古屋の中小企業が放つ大人気の鋳物ホーロー鍋

1個が2万3800円と2万5200円の高額でありながら、今注文しても納品は14カ月先。4月末の受注残が1万5000個という、人気の鋳物ホーロー鍋がある。

その名前は素材のFCV鋳鉄から取った「バーミキュラ」。作っているのは愛知ドビー。名古屋駅の西側に多く点在し、機械部品を製造する中小企業の一つだ。名古屋といえば今なら自動車産業で著名だが、昔は繊維産業も盛んだった土地柄。同社も社名どおり、繊維機械のドビー機械の製造で地位を築き、鋳物と機械加工の技術を保有している。

繊維需要が衰退した後は、船舶用油圧部品や建機部品など、機械部品の製造で生きてきた。といっても2次下請け止まりで、激しい需要変動の波に翻弄される日々が続いていた。全盛期に60名いた社員も、一時は3分の1程度に減少した。

そんな厳しい環境にあった愛知ドビーに2002年、脱サラして戻ってきたのが現在の土方邦裕社長。先代社長の長男で、会社員時代は豊田通商で為替ディーラーをやっていたというから、まったくの畑違い。08年の社長就任後、トヨタ自動車で原価企画を担当していた弟の土方智晴専務に声をかけ、愛知ドビーに兄弟がそろうことになった。

営業努力の結果、本業の機械部品では、IHIの船舶用デッキクレーン部品で1次下請けとして認められるようになったほか、東芝機械や日立建機など大手メーカー向けの機械部品も受注できるようになった。

一息ついた格好だが、そこは自動車部品のような量産品と異なる一品生産の分野だけに、生産ロットが小さいうえ需要の変動も大きい。

しかも「将来的に製造業の中に占める鋳物のウエートが一段と下がることは目に見えていた」(土方社長)。何とか自社で製造できる消費者向け製品がないかと探していた折、弟の土方専務が結婚式の引き出物で偶然手にしたのがフランス製の鋳物ホーロー鍋。鋳造品の機械加工を手掛けてきた土方兄弟が注目したのも当然だった。

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