転職前提で面接受ける若手に絶句した人事の顛末 「貴社をファーストキャリアとして考えています」に唖然
「何が何でも起業したい」
「どうしても上場会社の研究職に就きたい」
という明確で、強い熱意があるなら仕方がない。だが、たいていは、そこまでの情熱がある人は珍しいのだ。
「あなたが将来求めていることと同様の価値は、当社でも実現できますよ」
と伝えられたら、おおいに可能性は広がるだろう。
「転職前提」社員の採用で成功した事例
最後に、成功した会社を紹介しよう。
採用方針、採用基準を細かく設定して成功した会社だ。
従業員数が150名程度の、建設設備を扱う商社だ。毎年3名を通年採用している。ほぼ全員が「キャリア採用」だ。新卒採用は行っていない。
現在、年3回開催している会社説明会には、毎回50名以上の求職者が参加する。そのうち入社を希望する人が10%(5名)ほどで、毎年3名の通年採用を達成できている。肝心の定着率も、高い。
入社を希望する人の半分は「転職前提」だ。その人たちとは面接後に対話をするというルールを徹底した。
「採用前教育」を専門にする担当者をつけ、しっかりとレクチャーし、一緒になって今後のキャリアプランについて考えるのだ。
すると意外にも「転職前提」を撤回するケースが多いと聞いている。理由は、そのキャリアに、そこまでこだわっている人が少ないからだそうだ。
その陰には、徹底したマーケティング戦略があったことも付け加えておこう。当社に興味を持つ若者の母集団を増やすことに成功したことが大きかった。
昔は年に1回の説明会でさえ、30名も集まらなかった。その30名のうち、入社を希望する求職者が2~3名しかいない。そのため、相手の希望に合わせなければ誰も当社には入らない、そう思い込んでいたのだ。
ところが、採用マーケティングに力を入れたことで、いい人材が多く集まった。いちばん驚いたのは社長だ。
「中小の建設設備会社に、こんなにたくさんの若い人が応募してくるなんて!」
営業活動も採用活動もよく似ている。目の前の相手の「言い分」にとらわれてケースバイケースで対応したり、基準を下げて妥協したりしてはならない。そんなことを続けていると、長期的に大きな問題に発展してしまう。
視座を上げてマーケットを正しく分析しよう。営業活動であれば、当社の商材に興味を持ってくれるお客様はどこにどれぐらいいるか。採用活動であれば、当社で長く勤めてくれそうな若い人はどこにどれぐらいいるか。
この視点を持って、つねに情報収集に努めるのだ。方針を明確にすることが何よりも大切なことである。
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