転職前提で面接受ける若手に絶句した人事の顛末 「貴社をファーストキャリアとして考えています」に唖然

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いくら時代が変化したからといって、いずれ職場を去る新人の希望を優先的に叶えるのはどうか。そんなことをしたら割を食うのは私たちではないか――と、先輩や同僚が強い不公平感を覚えることだろう。

採用した若手が育たない、という問題もあるが、受け入れ先の空気が悪くなることも大きな問題だ。

だから、「転職前提」の若手でも採用すれば何とかなる、という発想は失敗に終わる。超人材難の時代だ。自分の要望を聞いてくれる受け入れ先は他にいくらでもある、と考えたらすぐまた転職するかもしれない。

では、どうしたらいいのか?

「転職前提」社員の採用に関わる2つのポイント

ポイントは2つある。採用方針の見直しと採用前教育だ。

1つ目は、採用方針を見直すことだ。時代はドンドン変わるのだから、都度方針を修正していくことが当たり前の時代になった。これまで曖昧だったポイントに、言葉を足すのである。

もし「転職前提」の若手を採用したくなければ、長く勤めてくれる社員を募集する、という文章を加える。

採用面接でその方針をハッキリ伝えれば、「転職前提」の若手は当社を選ばないだろう。もしどうしても入社したいのなら「転職前提」の考え方を見直そうとするはずだ。

「ケースバイケース」

という言葉がある。ケースバイケース、状況に応じて臨機応変に対応することは何事においても大事なことだ。

しかし採用活動においては気をつけたい。採用する前に「ケースバイケース」はないのだ。残酷なまでにルールを順守しよう。

どんなに素晴らしい人材と出会っても、当社が掲げた方針と合っていないのなら、「ご縁がなかった」と割り切る。臨機応変に対応すべきではない。

2つ目は採用前教育だ。

採用した後に教育しても遅い。

「転職前提」の若手をどうしても採用したいのなら、なぜ当社が長期で働ける人が欲しいのか丁寧に説明しよう。説明という表現よりも「教育」のほうが合っているかもしれない。相手はまだ若いのだ。正しいキャリアの考え方を知ることで心変わりすることはおおいにある。

融資をお願いするのと同じである。

長期的な目線で当社に融資してほしい。そうすることで、どんな対価を得られるのかを、わかりやすく伝えるのだ。

若い人が立てたキャリアプランは否定すべきでない。夢を持つことはとてもいいことだ。だが、キャリアの考え方について言葉を尽くして教育すれば、再考を促すことはできる。

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