転職前提で面接受ける若手に絶句した人事の顛末 「貴社をファーストキャリアとして考えています」に唖然
多くの人は意外に思うかもしれない。「転職前提」の若者を採用し、心変わりを期待しても、だいたいがうまくいかない。
あるIT企業でも同じことが起こった。
ここ数年、入社してくる若手に「主体性、積極性が感じられない」という現場からの不満が増えた。そこで募集要項に、
「チャレンジ精神あふれる人、自立している人を求める」
と記すことにしたそうだ。すると「数年後に独立するつもり」「起業家精神は高いほうです」とアピールする若者の応募が増えたという。
実際に志望動機を聞いてみると、こう答えたという。
「独立するには、ITリテラシーが不可欠と考えたからです」
「データアナリストになるうえでの経験をさせてもらえると思いました」
面接官は戸惑って、次の言葉が出てこなかった。
「わが社は学校じゃないよ」
と苦言を呈しても、どこ吹く風だ。
「いけしゃあしゃあと言うじゃないか。何様のつもりだ?」
同席していた配属先の責任者は、嫌悪感を隠さなかった。しかし、そういった声をかき消したのが人事部長だ。
「若いんだから夢を持つのはいいじゃないか。入社したら現実を知るはずだ」
時代が大きく変化しているのだから私たちも変わろう。そう言って「転職前提」の若者も積極採用した。
ところが、そんな部長の期待は大きく裏切られた。ほとんどの社員が宣言どおりに退職していったのである。
それどころか2~3カ月で辞めた者もいた。「目標は3年後に転職」と言っていたにもかかわらずだ。
「転職前提」社員の採用 3つの失敗理由
「転職前提」の若手も、採用してからリテンション(雇用維持)に努めれば何とかなるだろう。そう軽く考えて採用活動にあたっていると、大抵は失敗に終わる。その理由は3つある。
2、配属先がメンバーシップ型雇用の意識が強いため
3、配属先の士気が下がるため
まず1の理由について、キャリアの考え方「キャリア・アンカー型(どうしても譲れない価値観や欲求、考え方)」と「プランド・ハップン・スタンス型(意図された偶然)」を交えて解説してみたい。
「転職前提」で就職活動をする人は、採用面接で、
「3年以内に独立したいです。そのため○○の技術を習得させてください」
と、ここまでハッキリ口にしてくるのだ。将来のキャリアプランを明確に描いている。典型的な「キャリア・アンカー型」だ。
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