吉田:でも、14回の授業をトータルで受講したら、ちゃんと答えが出るのです。連ドラと一緒。毎回フィーチャーされる役者さんが違っても、通して見るとストーリーになっていて、最終回にああそうだったのかと分かればいい。観客を先へ先へと引っ張っていかなきゃいけない、という僕の本能的な血が騒いだ結果、こういう構成になりました。
太田:私もTwitterをやっていますが、たまに「ジェンダー大嫌い」って人が絡んできます。あんたのおかげで日本はバランスが崩れてるって。
吉田:「大嫌い」と言っているのに絡むのは、テーマに興味があるからです。本当は好きなんですよ(笑)。本には収録しませんでしたが、放送作家の元祖爆笑王さんを迎えたときにはいちばん厳しい批判が飛び交いましたね。「もうテレビの話なんか聞きたくない」「いまさら周回遅れのことを言うな」と。
太田:厳しいですね。それに対しどう思われました?
吉田:その通りだなって(笑)。
「縦展開」する男、「横展開」する女
太田:テレビ業界で働く女性って、どんな感じですか。
吉田:まず、ドラマ制作の分野では女性プロデューサーがすごく活躍しています。脚本家もそう。創造力による仕事は特に。
太田:男性と女性では強みが明確に違うのですか。
吉田:たとえば生活情報番組。視聴者の大多数は、買い物とか、余暇の使い方とか、旅行なんかにすごく興味があるのに、男性プロデューサーはそれらに興味を持っていない、もしくは、知らない。洗剤の値段、野菜の値段にも興味がない。だからスルーしてしまうのです。男性のほうが情報に受動的で、女性のほうが情報にアクティブです。
太田:女性ならではのライフイベントも、男性にはわからないですね。
吉田:特に出産は、男が絶対に追体験できませんからね。それを絡めた家庭のあり方とか、女性が子どもをどう守るかみたいな、言ってみれば極めて文学的なところに、男は入れません。
それと、男性の興味って、とにかく狭い。「オタク」のイメージも「狭く、深く」でしょう。女性のほうが、横に広がっていく。対象の隣にあるものまで知りたいと思う。それがある種の女子力じゃないでしょうか。
太田:ユーチューバーの吉田ちかさんと、書籍の巻末で特別対談されていますが、彼女がまさにそんな感じに思えました。
吉田:キャリアを重ねることについて、男性は「階段を上がる」という意識だけど、女性は上がってるとか下がってるとかいう意識じゃない。言ってみれば「横展開」です。
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