吉田:これは宇野さんの言っていることと全然違うのですが、「小さな山でも、登ってみると隣の山が見えてくる」ということだと思うのです。
箱根の山に登ると富士山がどれだけ高いかわかるから、次は富士山に登ってみようという気持ちになる。富士山に登ってみると、まあ富士山よりは低いんだけど、向こうのほうに日本アルプスの山々が見えてくる。
太田:わかりやすい(笑)。
吉田:ところが、御殿場あたりで「この道はどこに通じるのですか」と延々議論していたところで、一生、富士山も日本アルプスも登れないでしょう。小さな山でも、とにかく登れば向こうの方の山々の頂(いただき)がうっすら見えてきますよね。
階段の上に何があるか、男性は知りたがる
太田:そう聞くと、難しくない気がします。いきなりアルプスに登れ、富士山に登れと言われると、ハードルが高いですが、目の前にある小さな山から着実に一歩一歩しっかりやろうね、であれば、ハードルがぐっと下がりますから。
吉田:太田さんは実践していらっしゃると思いますよ。まずリクルートという、決して小さくはないですが、ひとつの山に登ってみようと思った。でもあっちの山もいいなあと思ったから、下山してみた。
でも下山して別の山に登ったおかげで、小さい山で籠城したままだと見えなかったところも見えるようになった。
太田:確かに、「景色を変える」ことが自分の行動力をかきたてているような気はします。
吉田:ただですね、男の論理というか男性脳的な発想だと、「太田さん、本当は何がやりたいの?」と、つい聞いちゃうんですよ。実際「本当は」も何もなくて、今やっていることがやりたいことなのに。
太田:そうですね。そんなことを言われても困りますね(笑)。
吉田:つまり、男性のほうが女性よりも海図を求めたがる傾向にあるということですよ。
男性は海図やら設計図やらで、全体を把握したい。この道の先に何があるかというのを、すぐ知りたがるのです。女性は概してそうじゃない。吉田ちかさんと同じで、「この階段の上に何があるか」を知ろうとしない、もしくは知らなくていいと思える。それが女性の強さですよ。
(構成:稲田豊史)
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