斎藤幸平「企業に商品化される神宮外苑」の大問題 「私有地だから自由」は社会の豊かさを破壊する
神宮外苑のような空間は「社会の共有財産」だ
――斎藤さんは、神宮外苑再開発の執行停止などを求める裁判の原告にも加わっています。なぜ、行動を起こしたのですか。
1970年代の公害問題については、学者も弁護士や市民と連携して各地で訴訟を起こし、さまざまな権利を勝ち取って公害を抑えていくことに貢献した。一方、50年たった今、学者が訴訟で政府や企業に責任を問うような動きはほとんどなくなっていて、そうした状況をどうすべきか自分なりに考えていた。
そのようなときに、神宮外苑の再開発反対の運動をしている市民から問題の深刻さを教えてもらった。神宮外苑のような空間は「コモン」(社会の富、共有財産)であり、それは私たちの手で守るべきものだ。
共編著『コモンの「自治」論』(集英社)で述べたように、破壊されようとする「コモン」を市民の手で守り、ケアしようという市民の動きは、自治の土台だ。神宮外苑に限らず、市民による自治を取り戻そうと、私自身も訴訟に参加することにした。


















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