斎藤幸平「企業に商品化される神宮外苑」の大問題 「私有地だから自由」は社会の豊かさを破壊する

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――再開発に反対する市民活動は広がっています。

神宮外苑の再開発反対の運動では、ネット上の署名活動だけでなく、いろんな人が再開発反対のビラを作るようになったり、清掃活動をしながらアピールをするようになったり、さまざまな形で皆さんが動くようになってきている。この経験がほかの地域の問題にも伝わってきている。

例えば渋谷区の玉川上水旧水路緑道の樹木を約190本切る計画は、疑問を感じた地域の住民が署名活動を始め、さらに専門家を呼んで独自の調査をし、伐採不要だという判断をもらい、渋谷区は伐採計画を見直すことになった。

まさに「コモン」の自治の動きが広がり、包摂された状態から自分たちが街を作っていく主体性を取り戻していくという変化が起きるようになってきている。

9月24日、市民団体のゴミ拾いボランティアに参加した斎藤幸平氏(左手前の男性、記者撮影)

「魂の包摂」に亀裂が走っている

少なからぬ人たちが問題を感じるようになっているのは「魂の包摂」に亀裂が走っているということではないか。1人では違和感を持ってもどうすることもできない。同じような思いを持つ人たちが出会って、問題を共有していく。

自治は面倒くさいイメージがあると思うが、私はそういうところで人々が出会っていくことが包摂を乗り越えて、主体性を形成していくことだと思う。やってみれば楽しいことでもある。神宮外苑の開発を止められるかどうかはまだわからないが、ここでの経験は日本全国で進められている再開発への牽制にもなるだろう。

森 創一郎 東洋経済 記者

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もり そういちろう / Soichiro Mori

1972年東京生まれ。学習院大学大学院人文科学研究科修了。出版社、雑誌社、フリー記者を経て2006年から北海道放送記者。2020年7月から東洋経済記者。

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