僕たちは「クソどうでもいい仕事」を根絶できる 哲学者が本気で「新しい国をつくる」仲間を募集

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ハートランドという新しい「国家」設立に向け、現在仲間を募集しているという江戸川大学基礎・教養教育センター教授の荒谷大輔氏(撮影:今井康一)

これから私はみなさんに、希望に満ちた未来を提案したいと思います。ハートランドという、ブロックチェーンの技術を使ったまったく新しいかたちの「国家」のご提案です。

将来に対する不安が渦巻く今日において、何の夢物語をと思われるかもしれませんが、どうか聞いてください。

ハートランドという「国家」のご提案

現在の資本主義では、それぞれの人の能力が「年収」というかたちで「価値」づけられていて、それは、おおまかにみて全員が同じ条件のもとで競争した結果だというふうに考えられていますよね。

実際のところ、こうした価値基準はそれほどフェアではありませんが、そう考える私のような人間も、現状、この仕組みから逃れることはできていません。日常生活のレベルで、そうした社会のシステムの上に生きているからです。

文句を口にすることはできても、「世論」ですら経済原理の中で決まる仕組みの上に生きているので、従わざるを得ないというわけです。この仕組みから距離を取ろうとすれば、生活すらままならない低賃金の環境に一気に追いやられることになるでしょう。

そうならないため(だけ)に私たちはしばしば、個人的には少しも社会の役に立っているとは考えられないけど、経済原理に照らせば「正解」と見做される仕事(つまり、デイヴィッド・グレーバーのいう「クソどうでもいい仕事」)を辞められないジレンマを抱えます。経済的な利益を上げることだけが、人生の目標になるわけです。

現状の社会のシステムがさまざまな点で機能不全を起こしていることやその原因の探求については、ここでは割愛します。それよりここでは、解決策のご提案を優先させていただければと思います。

現代の社会において、どうすれば人々が、SDGsなどという免罪符を使わずに自らの仕事の社会的意義を直接感じられるようになるのか、どうすれば実質的な仕事を担う人々が構造的な搾取から逃れることができるのか。

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