僕たちは「クソどうでもいい仕事」を根絶できる 哲学者が本気で「新しい国をつくる」仲間を募集

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それは、新しい「国家」をつくることによって可能になるというのが、私の提案になります。まずは今回、その全体像を明らかにした上で、その実現可能性については次回、斎藤幸平さんとの対談の中で示していければと思います。

「新しい国家」の全体像

新しい「国」としての「ハートランド」

この記事を読んでらっしゃる方々の多くは「日本」という国家に所属しているかと思います。近代になって私たちは「民族」や「文化」を単位として国をつくっていますが、私の構想する「国家」は、そうしたものとはまったく別の枠組みで提供されるものです。

ですので、「日本国」に所属するのをやめて「ハートランド」に国籍を移してください、というわけではありません。近代国家とは別のかたちで人々が集い、ともに助け合って生きられる枠組みを提供したいと思います。

いまは生まれた場所に応じて、どこかの近代国家に属さないと生きていけない仕組みになっていますが、よく考えればそうである必要はあまりありません。相手がどういう人かわからないときに「日本人」とか「アメリカ人」とか「タイ人」とかいう枠組みがあったほうが、その人の行動がある程度予測可能になるので有益だということもあるかもしれませんが、それは同時に偏見にもなりえます。

必要なのは、その人が、どういった経歴をもつ人なのかという情報なのであって、かならずしも国籍で人を判断する必要はないでしょう。

ハートランドは、自分が何者かを証明できるIDを、望む世界中の人々すべてに提供します。ブロックチェーン上に記録された改竄不可能な経歴情報を、プライバシーを保ちながら開示したい人だけに開示できるサービスを提供するわけです。

日本円を使わない経済

ハートランドは「お金」についても改革を行います。これも別に「日本円」や「ドル」などの通貨の使用をやめてくださいというわけではありません。

現行の経済でやり取りされる「お金」には、経済的な価値があると考えられていますが、ハートランドでは、資本主義経済の下でやり取りされる価値基準とは異なる仕方で流通する「別のお金=ハート」が使われることになります。

ハートランドの具体的な「政策」については、これから参加者とともに議論を重ねていくべきだと思いますが、たとえば、ハートランド国民には毎月一定額の「ハート」を与えるというベーシック・インカムなどがありえます。人がやってくれたことに対して「ありがとう」という代わりに、自分がもらった「ハート」を贈るというわけです。

「ハート」には、他人の時間を自分の思うように使う権利、あるいは他人が嫌がることを無理やらせる権利を買う力はありません。しかし、それでも「価値」のやり取りは可能です。

いまの「お金」は、それほど歴史の古くない特定の社会構造に支えられて、他人に無理やり何かをやらせる力を持ってしまっているのですが、そうではないかたちで人々の間で「価値」を交換することはできるのです(詳しくはハートランドの公式HPに掲載された論文をご参照ください)。

ベーシック・インカムと聞いて、財源はどうするのだと疑問に思う方もいらっしゃるかと思いますが、それもまったく大丈夫です。だって、実は「お金」と呼ばれるものの本質にかかわることではありますが、それを発行するためのコストはほとんどゼロに等しいのです。

ハートランドはブロックチェーン上のトークンを使うことを想定していますので、発行コストすらワンクリックですみます。「ハート」の価値は、ハートランド国民となった皆さんが、それを使って互いに価値の交換をすることで決まっていくものなので、お金を発行すること自体にお金はかからないのです(厳密にいえば、お金の総量が増えることで「ハート」のインフレが発生するので、それにどう対処するのかが問題になりますが、それは後々議論をしていきましょう)。

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