僕たちは「クソどうでもいい仕事」を根絶できる 哲学者が本気で「新しい国をつくる」仲間を募集

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会社を企業DAOで置き換える

そうするともしかしたら「日本円」をもらうよりも「ハート」をたくさんもらえる仕事をしたいと思う人が増えてくるかもしれません。ハートランドは、そのための仕組みも提供します。これまでの企業活動をまるごとDAO(分散型自立組織)に置き換えるためのプラットフォームを提供するのです。

ハートランドの企業DAOといまの会社とのいちばんの違いは、みんなで意思決定する集団になるという点です。いまは嫌なことでも上司の決めたことに従うしかありませんが、「ハート」を使う経済では、先に見たように、他人の時間を買い取ることはできません。

人が集まって一緒に働くことで「個人」ではできないこともできるようになりますが、全体の方針に納得できないままで働くことを強いられるとやる気が削がれてしまいますよね。

会社に対するコミットメントを上げて「生産効率」を上げることは、いまの会社でも重要視されることですが、そのためにも会社の方針を皆で決められることは重要なことだと思います。無意味なパワハラもなくなりますし、そもそも株主がいないので、過剰に利益にこだわらなくてもよくなります。

どうでしょう、それって「理想の職場」ではないでしょうか。

共同生活のためのコミュニティ

それに加えてハートランドは、生活DAOというコミュニティ形成もサポートします。生活の面でお互いに助け合う仲間のグループのイメージです。いまでいう生協や友だちとのサークルのようなものをイメージしていただければと思います。

ふと困ったときに手をさしのべてくれる人たちを想像してください。車を貸してくれたり、ご飯をつくってくれたり、話し相手になってくれたり、子どもの面倒をみてくれたり。

昔ながらのご近所づきあいに似ているのですが、かならずしも同じ地域に住んでいなくてもよいというのがポイントです。日本中・世界中に散らばっていてもよい。

価値観の合う人というのは、かならずしも近くに住んでいるわけではありません。この時代、住む場所に縛られなくても、ご近所付き合いみたいなことができるはずだと思うのです。

シェアリング・エコノミーとできることは似ているのですが、プラットフォーム企業の仲介がない点が最大の違いです。データを盗まれることも、マージンをとられることもありません。

「新しい国家」の運営モデル

運営のお金はどこから来るのか

ハートランドは「新しい国家」を提供するわけですから、インフラの整備や社会保障など、ハートランド全体での「国民」の福祉の向上を目指します。そのための運営資金がどう確保されるかが気になった方もいるかもしれません。

実際のところ、ハートランドの運営資金は、独自トークンを使用する経済圏の拡大によって担保されます。

ハートランドが既存の「国家」の役割を代替するに至るのは、だいぶ先の話かもしれませんが、仮にハートランド経済圏が一定以上の規模まで拡大し、人々の間のやり取りを媒介するトークンの価値が、社会的に十分に認められるようであれば、ハートを発行することによって運営資金は確保されます。あるいはハートの発行量を抑えるために、ハートランドで行われる取引に一律で「税金」をかけることも考えられるでしょう。いまの消費税みたいなものですね。

一般的に消費税というのは、徴税するのが大変な仕組みです。いまは各企業が集計して納入していますからね。ここで、ハートランドの通貨「ハート」がブロックチェーン上のトークンであることが効いてきます。

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