子どもを厳しくしつけても自立心が養われない訳 「甘やかす」と「甘えさせる」はまったく違う
その後、保育園への車中、後部座席のチャイルドシートに座っている娘の目に涙が浮かんでいるのを見たときに、アメリカで出会ったママたちの余裕のあるやさしい姿をふと思い出し、私は自身の意地悪な態度を反省しました。
私はこの日を境に考えを改め、朝、子どもにつらくあたるのをやめました。
具体的にどうしたかというと、子どもの甘えたい気持ちを受け止めるために、時間管理を見直し、自分が先に出かける準備をすませたうえで、娘の着替えやヘアセットを手伝うことにしたのです。
娘が「手伝って」と言ってきたら「いいよ。手伝ってあげるよ」と即返事をして、「自分でやろうと思えるまで、喜んでお手伝いしますよ」「気持ちよくお着替えできたら、保育園で頑張れるもんね」などと、気持ちが晴れて、自立へのエネルギーが湧くような応援の声かけをして、楽しいコミュニケーションの時間に変えました。
もちろん、私の負担は増えました。しかし、もしあのまま娘の気持ちを受け入れず、「自分でお着替えくらいできるでしょ?」「だから早くしなさいって言ったでしょ! グズグズしてのろまなんだから!」などと、毎日怒鳴りながら人格を否定していたら、娘の心は満たされないだけでなく、自尊心が傷つき私から嫌われていると勘違いしたでしょうし、自己肯定感も低くなる一方だったと思います。
心が満たされれば自ら動けるようになる
結局、このお着替えのお手伝いは長くは続きませんでした。甘えることに満足した娘が、自分で準備するようになったからです。
忙しいときに甘えてくる子どもを煩わしく思ってしまうことは誰にでもあります。しかし、そこを乗り越えて3カ月ほど笑顔でお手伝いを続けていれば、子どもの心が満たされて、「自分でやってみたい」という自発的なエネルギーが芽生えてきます。
もし、それでも自分でやろうとしない場合には、お子さんが朝の準備は親がやるものと勘違いしている、もしくは怠惰になっている可能性もありますので、「今まではママ(パパ)がお手伝いしてきたけど、もうあなたは自分でお着替えできるエネルギーがあるよ」と笑顔で確認してみましょう。
それでも「嫌だ、ママ(パパ)とお着替えしたいし、面倒くさい」と言われたら、「ママ(パパ)に頼らなくても、もうあなたは自分でできるし、その面倒な気持ちを乗り越えていける力を育てていこうね」と応援しながら、少しずつ1人でできるようサポートしていきましょう。心が満たされていれば、素直に提案に乗って、いずれ自分でやるようになります。
このように、子どもの甘えたい気持ちを受け止めることは、ワガママな子どもを育てることにはなりません。むしろ、自発的なエネルギーを生み、自立や自己実現につながっていくのです。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら