一流経済学者の教科書には何が書いてあるのか そもそも経済学ってお金の学問ではありません
経済学では人々の選択を研究する。特にその選択を、費用と便益の面から考える。
経済学は選択を研究する学問
経済学の考え方が日常生活に広く関係していることを知ると、たいていの人はびっくりする。
新車を借りるかどうか、シートベルトをするかどうか、ヘアピンカーブを時速何キロで回るか。これらはすべて選択であり、経済学者にとっては、こうしたすべての選択が研究対象となる。
すべての選択が、直接お金に関連しているわけではない。だから、お金ではなく、選択こそが経済学の研究対象のすべてに共通する特徴である。
実際、経済学では、人間の行動のほとんどすべてが選択の結果だとみなす。
経済学は選択の学問である。これが、経済学とはどういうものかを覚えておくための簡単な方法だ。
しかし、より正確に定義するには、経済主体と資源配分という2つの重要な概念について知る必要がある。
まず経済主体とは、選択を行う個人、あるいは集団である。
個人の選択の例から紹介しよう。
たとえば、消費者は、ダブルベーコンチーズバーガー、あるいは豆腐バーガーのどちらかを選択する。
親は、子どもを、公立学校に入れるか、あるいは私立学校に入れるかを選択する。
学生は、授業に出席するか、あるいはさぼるかを選択する。
市民は、選挙で投票するか、あるいは投票しないかを選択し、投票する場合にはどの候補者を支持するかを選択する。
労働者は、仕事をするか、あるいは仕事をするフリをして友人とメールをするかを選択する。
企業幹部は、新しい工場をチリに建設するか、あるいは中国に建設するかを選択する。
政治家は、法案に賛成するか、あるいは反対するかを選択する。
もちろん、日々膨大な数の選択を行っている読者のみなさんも、経済主体の1人だ。
経済主体は個人だけではない。政府、軍隊、企業、大学、政党、労働組合、スポーツチーム、ストリートギャングなど、集団ということもある。