一流経済学者の教科書には何が書いてあるのか そもそも経済学ってお金の学問ではありません
経済学は通常、集団の中にいる各個人が集団の決定にどう関与しているかという細かい部分を省略して、集団を1つの意思決定者のように扱って分析を簡単化する。
たとえば経済学では、「アップル社は利潤を最大化するようにiPhoneの価格を設定する」と表現して、価格決定に至るまでに多くの経営幹部が関与するという事実は省略される。
次に理解すべき重要な概念は、希少資源の配分だ。経済学は、希少資源の配分を研究する学問だ。
希少資源とは、人々が欲しがっている量が、人々が利用できる量を超えているものである。金の結婚指輪、指圧、コーチのハンドバッグ、カリフォルニアの桃、iPhone、チョコレート・アイスクリーム、眺めの良い部屋などはすべて希少資源だ。
資源には限りがあるのに人の欲求に限りはない状態では、希少性が生まれる。
すべての人に欲しいものすべてを与えるほど十分な資源はこの世の中にはない。
もしスポーツカーが無料でもらえるとしたら、台数が足りなくなってしまうだろう。だから実際には、スポーツカーは代金を支払う意思がある消費者だけに販売される。
スポーツカー市場があることで、経済主体にはたくさんの選択肢が生まれる。
あなたに割り当てられた時間は、1日24時間だ。これがあなたの時間枠となる。
あなたは、24時間のうちどれくらいをフェイスブックに使うかを選択する。仕事など、それ以外の活動に何時間使うかも選択する。
そして仕事がある人は、苦労して稼いだ給料でスポーツカーを買うかどうかも選択するだろう。
現代社会では、このような選択に導かれて、支払うお金と意思を持っている顧客にスポーツカーが配分されるのだ。
経済学とは何だろうか
これで経済学を詳細に定義する準備ができた。
もうお気づきだろうが、この定義で重要なのは選択だ。
定義では、その選択が社会にどのような影響を及ぼすのかも考慮に入れている。たとえば、新しいスポーツカーの売り上げは、それを買った人にだけ関係があるわけではない。
売り上げがあれば、売上税が発生する。売上税は政府の収入となり、それが高速道路や病院などの建設資金となる。
販売された新しい車がラッシュアワーの列に加われば、渋滞を引き起こすかもしれない。
その新しい車が、あなたの家の近くの駐車場の最後の空きをとってしまうかもしれない。
新しい車の所有者が乱暴な運転をする人であれば、事故のリスクが高まる。さらに車は排気ガスも出す。
経済学では、最初の選択が社会のほかの人々に及ぼす様々な影響を研究する。
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