「お金持ち男性」と結婚しやすい女性の意外な職業 均等に助け合えるようなカップルが成立しやすく

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逆に成婚しにくい女性の職業を見てみると、ワースト1位は2020年「定年退職」、2022年「家事手伝い」となっています。2020年と2022年の双方に「家事手伝い」「定年退職」、そして図表では見えていませんが2022年のワースト11位に「学生」、2020年の8位に「パート・アルバイト」がきていることからも、「年齢が高すぎる、低すぎる、経済的に自立していない」は「婚難を招く」ということが言えそうです。

時代変化をしっかりとらえた婚活を

アプリ婚活などと比べて、お金持ち男性の登録が多そうな結婚相談所であっても、「若くて物言わぬかわいい女性を選ぼう」という男性が多いという結果には決してなっていません。また、「社会的な立場のある女性よりも、家事育児に専念しそうな『尽くす』女性が選ばれる」という結果にもなっていません。むしろ逆、といったほうが適切でしょう。

成婚白書の集計対象となったIBJ成婚男性の年収を「成婚白書~2021年度版~」でみてみると、成婚した男性の平均年齢は39.6歳、平均年収は724万円となっています。

これは国税庁が発表している「令和3年度分 民間給与実態調査」において30歳代後半の給与所得者の平均給与が533万円であることを考えれば、一般的なイメージどおり、かなり富裕層の男性の結婚といえます。このことから、次のことが指摘できるでしょう。

●女性であっても結婚を考えるならばしっかりとした仕事を持っていること。
●特にお金持ち男性狙い、というならば、なおさら、女性自身も経済力を有する覚悟が必要である。
●結婚相談所は、お金持ち男性が自分の言いなりになる女性、家事育児に専念してくれそうな女性との成婚をサポートする組織ではない。
●かつて主流であった専業主婦、パート妻を求めた結婚は少なくとも富裕層では流行らない。

毎年、婚姻届の約4割の離婚届が提出される時代において、せっかく出会えた2人の未来が破綻をきたさないような、互いに均等に助け合えるようなカップルが成立しやすくなっているともいえる、非常に興味深い結果であると思います。

天野 馨南子 ニッセイ基礎研究所 人口動態シニアリサーチャー

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あまの かなこ / Kanako Amano

東京大学経済学部卒。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。1995年日本生命保険相互会社入社、99年より同社シンクタンクに出向。専門分野は人口動態に関する社会の諸問題。総務省「令和7年国勢調査有識者会議」構成員等、政府・地方自治体・法人会等の人口関連施策アドバイザーを務める。エビデンスに基づく人口問題(少子化対策・地方創生・共同参画・ライフデザイン)講演実績多数。著書に『未婚化する日本』(白秋社・監修)、『データで読み解く「生涯独身」社会』(宝島社新書)等。

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