「古文は役に立たない」と思う人の"大きな誤解" 学生時代に勉強を疎かにしているとどうなるか

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例えば人から「本当にそう思いますか?」と言われた時に、「はい、本当にそう思いますよ」なんて答える人っていますよね。

多くの場合、「本当にそう思いますか?」というのは反語で使われていて、「本当にそう思いますか? あなたは、本当には、そう思っているはずがないですよね?」という意図でつかわれています。

でも、この表現を反語だと気付かないで会話を続けてしまう人って多いように感じます。これは、私から言わせていただくと、反語の表現をしっかり古文漢文で勉強してこなかったから起こっている現象なのではないでしょうか。

古文は今を生きる私たちの糧にもなる

このように、古文の勉強を疎かにしてしまうと、現代語の解釈がうまくできなくなってしまうのです。「なんでこんなに助動詞とか助詞を覚えなければならないんだ!」と古文の勉強をしている時に感じた方も多いと思うのですが、それは、古文を読めるようになる以上に、現代語の解釈や、日常会話で不便しないようにするための勉強でもあるのです。

「古文が不要である」と考える人が多いのは、多くの教育現場で「古文を読むための古文」が横行してしまっているからだと感じます。

本来はこんなに、今を生きる私たちの糧になるのが古文なのに、それを誰も伝えられないまま古文を勉強している人があまりにも多い。これは本当に悲しいことだと思います。この記事が、みなさんが「古文」という科目を捉え直すきっかけになってもらえれば幸いです。

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辻 孝宗 西大和学園中学校・高等学校教諭

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つじ たかむね

西大和学園中学校・高等学校教諭。1975年生まれ。岐阜出身。国語科教師として、20年余り、西大和学園の国語を率いている。常に新しいスタイルで展開される授業の人気は高く、定員40人の放課後講座に280人が申し込んだことも。その授業は楽しいだけでなく、最小限の努力で常に学年を全国1位にするので、生徒だけでなく教員にも信奉者が多い。

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