難関入試、これが受かる子の思考プロセスだ

細かい理論が分からなくても問題は解ける

Bさん:「ああ、面白い問題ですね。初見の問題ですが、ニワトリ胚のかなり下のほうを切断しているので、ここには④脳や①心臓②肺、さらに微妙ですが⑦肝臓や⑧胃の内腔などはなさそうですね。これで選択肢10個のうち5個が排除されたので、解答はかなり絞り込めます」

なかなか難しい問題だが、ひるむことはないのだ。Bさんのように、あり得る解、あり得ない解を推理、推測する力が、このような問題を解くうえでいかに重要か、お分かりいただけたと思う。

細かい理論が分からなくても解ける

さてもう1問。AさんBさんの両名に次の図解問題を出題してみた。

【第2問】心臓の左心室内の圧力を縦軸に左心室の容積を横軸にとり、心臓の拍動をプロットすると図3の「圧-容積曲線」が描かれる。この図の1周は、1回の拍動で得られるものである。
さて、今、心機能に影響を及ぼす薬剤を加えると、「圧-容積曲線」は変性して現れる。では図4でアドレナリンを加えたときの心臓の「圧-容積曲線」として、①~③で最も適当なものはどれか。
出典:2015年杏林大学医学部赤本(教学社)

 

この問に対する答えも2人の反応は対照的であった。

Aさん:「アドレナリンは交感神経から出て、心臓の拍動を増加させるのだから、おそらく②のように大きくなるんだろうなあ。いや待てよ、③も大きくなっているなあ。でも、横に寝たような形だからさすがにこれはおかしいよね。ねえ、先生、何かヒントちょうだいよ」

Bさん:「この図は左心室の内圧(圧力)と左心室の容積の関係を表したグラフだから、まずそこを前提に考えないといけない。確かにアドレナリンは心臓の拍動を促進しますが、左心室の容積が②のように倍になったり、③のように内圧が半分で容積が倍になるというのはおかしい。

心臓の拍動を促進するアドレナリンを加えたとしても、左心室が極端に大きく変化することはないと思います。そう考えると、詳しい理論的なことは分かりませんが、おそらく①が妥当なのではないでしょうか」

どうだろう。この2人の反応を見て分かるように、対象となる事物を本質的に観察する力がいかに大切か、よく分かるだろう。受験生に声を大にして言いたいのは、Bさんの思考法を学びなさいということだ。それは物事をよく観察して、自分の頭でよく考えるということである。

言うは易しだが、行うは難しい。こういう思考パターンは子どもの時分から習慣付けられていないと、なかなかどうして簡単にできるものではない。ただ、すでに出来上がった思考力にも磨きをかけることはできる。Aさんのように知識・記憶に偏ったアプローチしかできない思考法でも、トレーニングによりBさんに近付くことはできるのである。

このほかにも、医学部入試に関する情報を小林公夫オフィシャルサイトにて紹介しております。ぜひ、併せてご覧ください。

 

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