男性婚活で如実「恋愛弱者と強者」残酷な格差 アプリでは平均的なモテ男も苦戦する
例えば小林・大﨑(2016)は、「人びとは恋愛経験によって、対人魅力やコミュニケーション能力を恋愛資本として蓄積し、それを有効活用することで結婚として回収する」という仮説のもとで、過去の恋人の人数と恋愛経験(キス)の数と、結婚の因果関係について調査を行っています(※1)。
この調査では、既婚者のうち過去の恋人の数は男女合計で平均2.6人となっていますが、既婚男性は過去の恋人の人数が5.6人、キスをした人数は12.9人の男性がピークになっていたことが指摘されています。
恋愛資本は単純化すると、対人魅力(容姿・社会的地位・収入・資産)×異性とのコミュニケーション能力と考えることができるでしょう。対人魅力は社会的地位や収入はある程度までは努力で改善できるものの、親から受け継ぐ容姿や資産については生得的な差を覆すことが難しいと考えられます。
それに対してコミュニケーション能力は、経験と学習を通じて後天的に向上させること比較的容易です。おそらく、思春期から結婚適齢期までの間に、積極的に異性とコミュニケーションをとり、失敗を含めて恋愛経験を積み重ねていった男性が、恋愛資本を蓄積した強者へと成長すると考えられます。
※1 小林盾・大﨑裕子(2016) 「恋愛経験は結婚の前提条件か:2015年家族形成とキャリア形成についての全国調査による量的分析」『成蹊人文研究』第24号, pp.1 -15.
婚活市場では残酷なほどに格差が拡大する
この恋愛資本という考え方と、婚活市場のもつ独自の力学を組み合わせて考えると、「出会いの機会の増大」が、必ずしも男性の交際・結婚につながらない理由が明確になってくると思います。
婚活支援サービス(特にマッチングアプリ)は対人魅力(容姿・社会的地位・収入・資産)で検索して、出会いたい人をピッキングする機能を実装しています。そうすると、婚活市場では対人魅力の重要性が遥かに高くなり、優れた容姿、優れた社会的地位や収入、資産を有する恋愛強者男性が女性との出会いの機会を寡占し、恋愛弱者男性は女性とマッチングすることすら困難となってしまいます。
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