男性婚活で如実「恋愛弱者と強者」残酷な格差 アプリでは平均的なモテ男も苦戦する

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ここまでの論考を踏まえて、婚活男性にまず求められるのは、自分が恋愛弱者/恋愛強者のどちらに当てはまるのかを確認しておくことです。さしあたって、小林・大﨑(2016)の調査を参考に、過去に3人以下の女性としか交際経験のない男性を恋愛弱者男性としておきましょう。

恋愛弱者男性の中には、対人魅力に優れた方がいらっしゃると思います。その場合は、特に対人魅力で選別されやすいマッチングアプリを利用して出会いの機会を増やし、コミュニケーション能力を磨き上げていくことで、リッチマン・容姿モテ男・ハイスペック男性のどれかにクラスチェンジしていく可能性があります。

恋愛弱者にはアプリ、パーティーは厳しい

それに対して、対人魅力とコミュニケーション能力が共に少ない真の意味での恋愛弱者男性は、かなりの苦戦が予想されます。対人魅力への比重が高くなるマッチングアプリ、対面コミュニケーション能力が比較的効く婚活パーティーでは、恋愛強者男性との競争に負けてしまいます。

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おそらく、女性の細かなニーズ(趣味や容姿の好み)を把握し、マッチングを試みてくれる結婚相談所に、一縷の望みがあるのではないでしょうか。

他方で恋愛強者男性が何らかの理由で婚活支援サービスの利用を決意した場合は、逆に婚期を逃す危険性と隣合わせであることに注意が必要です。

小林・大﨑(2016)は、男性は過去の恋人の人数が5.6人、キスをした人数は12.9人という経験数のピークを超えると、逆に婚姻数は低下していくことを指摘しています。

対人魅力に優れている恋愛強者男性が婚活支援サービスを利用すると、短期間で出会いの機会が大幅に膨れ上がることになると予想されます。その状況に置かれたとき恋愛強者男性は、さまざまな女性と出会い、恋愛を楽しむことが自己目的化し、「いつでも結婚できる」と考えて結婚を先送りする「拗らせ」を発症してしまうかもしれないのです。

このように、婚活市場における男性の婚活戦略は、自分が恋愛弱者と恋愛強者のどちらかを自覚した上で、上手く婚活支援サービスを選ぶといった「婚活との付き合い方」をまず追求していく必要があるのかもしれません。

高橋 勅徳 東京都立大学大学院経営学研究科准教授

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たかはしみさのり / Misanori Takahashi

神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程修了、博士(経営学)。沖縄大学法経学部専任講師(2002‐2003年度)。滋賀大学経済学部准教授(2004‐2008年度)。首都大学東京大学院社会科学研究科准教授(2009年‐2017年度)を経て現職。専攻は企業家研究、ソーシャル・イノベーション論。第4回日本ベンチャー学会清成忠男賞本賞受賞。第17回日本NPO学会賞優秀賞受賞。

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