岸田総理に教えたい「初任給倍増計画」驚きの全貌 消費力の高い若者にお金を回して経済復活せよ

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1990年以降、大卒初任給は年平均0.99%ずつ上昇してきましたが、同時期の最低賃金の引き上げ率は2.04%でした。通算すると、この間、最低賃金は1.9倍になったのに、大卒初任給は1.4倍にしかなっていません

結果として、最低賃金に対する大卒初任給の倍率は当初の2倍から、1.4倍に大幅に低下しています。要するに、政府は賃上げに積極的ですが、民間企業はそうではないのです。

岸田総理は今こそ「初任給倍増計画」を掲げよ

ここで、政府には一段と強いリーダーシップが求められます。私は、それが「初任給倍増計画」だと思っています。

岸田総理が掲げた1500円の最低賃金目標をもとに、大卒者の初任給を最低賃金の2倍に戻す前提で計算すると、大卒者の初任給は「(1500円×8時間×5日間×4週間)×2=48万円」となります。現在の初任給は23.5万円なので、ほぼ2倍です。

仮にこのような「初任給倍増計画」と呼べる政策が実行に移されると、どのような経済効果がもたらされ、どのようなメリットが生まれるのか、検討してみたいと思います。

前回(日本を蝕む「20代の給料安すぎ問題」超残念な実態)も説明したとおり、日本の場合、人口減少が「個人の消費総額の縮小」という形で経済に悪影響を及ぼしています。

また、同時に進行している高齢化が経済に及ぼす悪影響も無視できません。先進国の場合、50歳を過ぎると、所得は増えても消費性向が低下し、1人当たりの消費額が減少する傾向が顕著に見られます。

日本の場合、国民の平均年齢がすでに49.7歳になっているので、放っておけば、1人当たりの消費額が減少する可能性が高いのは改めて言うまでもないでしょう。

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