泉谷直木・アサヒビール社長--食品で世界10位が目標、アジアでは「生」で攻める

泉谷直木・アサヒビール社長--食品で世界10位が目標、アジアでは「生」で攻める

ビール類国内シェア首位をキリンビールから2年ぶりに奪還し、2010年度は過去最高の収益を達成したアサヒビール。今年度も順調な滑り出しを見せた矢先、東日本大震災で甚大な被害が出た。第1四半期に確定した震災関連の特別損失は69億円にも上る。国内拠点の復旧に全力を注ぐ一方、国内市場の縮小を受け、海外戦略をどう突き進めるか。泉谷直木社長に聞いた。

──震災後の状況は。

震災発生後、最優先したのは社員の安否確認と安全確保だ。幸いグループ社員は全員無事だったが、東北・北関東の工場や物流拠点の設備などに被害が出た。震災後1カ月ほどで大半が操業再開できたが、福島工場はいまだ再開できていない。夏の最盛期に向けて6月末には再開できるよう、復旧を進めている。

現在は一部商品の発売を延期し、主力商品に絞った計画生産と出荷を実施。被災2工場の出荷数量をほかの7工場でカバーしている状況だ。

──それでも、店頭では飲料の品薄状態が続いています。

3月の計画停電の影響を受けたのが大きな原因の一つ。アサヒグループでは、酒類、飲料の生産拠点8カ所が計画停電エリアに該当した。各工場とも、計画停電が実施中止になっても急に製造スケジュールを変更できないため、計画停電の予定日は操業を停止せざるをえなかった。

特に、アサヒ飲料のミネラルウォーターは生産拠点が静岡県の富士山工場と兵庫県の六甲工場の2カ所となっている。今回、富士山工場が計画停電エリアに該当したため、最大限の生産能力で稼働することができない状況だった。現在は2工場ともフル稼働を続けている。

──震災後の日本経済をどう見ていますか。また、事業への影響は。

今回の大震災は地震や津波の直接的な被害にとどまらず、原発事故の影響が大きい。計画停電に伴う食料や水、生活用品の供給不足など、さまざまな問題に広がっており、世の中の状況は日々変わっている。

当社では第2四半期も、復旧費用や操業休止期間中の製造固定費などで、第1四半期の69億円と同程度の損失が発生する可能性が高い。

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