泉谷直木・アサヒビール社長--食品で世界10位が目標、アジアでは「生」で攻める


 一方、ミネラルウォーターやお茶については、震災で需要が急増した。アサヒ飲料の1~3月期の売上高は前年同期比で11・3%増えた。が、今の日本では社会への「不安」、情報への「不信」、国民の「不満」の「3F」が強まっている。スーパーやコンビニでは欠品続きで商品を入手しにくく、買い占めなど非常時の購買状態が続いている。震災の影響があまりにも大きく、日本の経済は当面厳しい状態が続くだろう。

アサヒグループにできることは、お客様が一日でも早く安心・安全な生活を取り戻し、消費の場に戻ってくれるよう、商品供給を通して可能なかぎり尽力していくことだ。

震災でグローバル化を遅らせるつもりはない

──社長就任から1年。7月にホールディングス化を控えています。

あっという間の1年だった。この1年はアサヒビールの社長とホールディングスの社長を兼任しているようなものだった。国内営業で全国のお得意先を回らなくてはならず、体力的にも時間的にもそこにウエートがかかっていた。だが、ホールディングスになれば今度は事業会社の社長に国内営業を任せられる。私はM&Aなど、新しい成長事業を考えることに時間をかけられる。

──15年までにM&A資金として8000億円を用意しています。

売上高2兆~2兆5000億円を目指している。現状が1兆5000億円弱だから最低5000億円は上積みしなきゃいけない。特に海外比率を現在の7%から20~30%に上げるというのが15年までの目標だ。今期、海外はやっと営業利益が黒字化する見通し。目標達成には海外売上高を現在の4倍、4000億円まで増やす必要がある。

投資優先順位は酒類、次に飲料と決めている。地域は、中国を含むアジア、オセアニアだ。

実は、東南アジアはアルコール飲料の販売に関する法律などもきちんとしていない。ただ面白いことに、経済成長に伴って飲まれるアルコールの度数が下がるというデータがある。すでにアジアはビールの消費量で世界の50%を占める。それならば、ビールの需要はまだまだ伸びる。

しかし、単純に規模を拡大するだけのM&Aはやらない。まだブランドが固定されていない成長市場のアジアでポジションを取っていきたいのだ。震災でグループのグローバル化を遅らせるつもりはまったくない。一刻も早く世界の食品メーカーで10位以内に入るつもりだ。

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