「中国EVの攻勢」にドイツ自動車産業が震えた日 「ヨーロッパの病人」の心臓部に迫る時代の転換

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縮小

低迷しているのは自動車メーカーだけではない。昨年始まったウクライナに対するロシアの全面侵攻の影響でエネルギー価格と原材料の高騰が長引き、それが重石となってドイツ経済は停滞している。

国際通貨基金(IMF)が調査した先進8カ国の中で、今年経済が縮小すると予測されたのはドイツだけだ。これを受けて、1990年代後半に記録的な失業率の高さと東西ドイツ統一のコストに阻まれ、ドイツが「ヨーロッパの病人」と呼ばれた状況を思い起こすエコノミストたちもいる。

デジタル化に躍起のドイツ政府

ドイツ政府は対応を急いでいる。8月の末には、生産の回復を助けるため、4年間で320億ユーロ(約5兆円)の法人減税を承認した。

ドイツ政府は、ビジネスにおけるドイツの悪名高き書類の山を削減することも提案。例えば、公文書の写しを紙ではなくデジタルで受け付けるなど、デジタル化を推し進めている。500社を対象に行われた最近の調査では、最も安全な通信手段としてファクスが依然として使われていることが示された。

こうしたドイツの状況を、2019年に設立された中国の高級EVメーカー、HiPhi(ハイファイ)と比べてみてほしい。同社は現在、ハイテクが満載された第3のEVモデルを生産中だ。

ボタンを押すとドアがスムーズに開き、ドアの内側と外側のライトが点滅したり色を変化させたりする。HiPhiの車はドイツとノルウェーで10万5000ユーロ(約1660万円)から販売されており、今回の自動車ショーでも展示された。

これほど早くEVの生産を展開できるのは、HiPhiの最高技術責任者(CTO)マーク・スタントン氏によると、自動車ビジネスに対する、これまでとは異なるアプローチと関係しているという。

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