「中国EVの攻勢」にドイツ自動車産業が震えた日 「ヨーロッパの病人」の心臓部に迫る時代の転換

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中国では、ドイツの自動車メーカーがEV需要の高まりに対応できず空白が生まれたところを、中国の自動車メーカーが即座に穴埋めに動き、手頃な価格で魅力的なEVを生産して中国市場を支配するようになった。

そして今、中国の自動車メーカーは、12年後にガソリン車が禁止されるヨーロッパに目を向けている。

9月4日に開幕したミュンヘンの自動車ショーでは、ドイツの伝統的な自動車メーカーがEV生産拡大に向けた今後数年間の計画をプレゼンする一方で、中国勢はヨーロッパ市場に投入する新モデルを披露した。

今年の自動車ショーは「時代の転換」

「ヨーロッパはBYDにとって戦略的な市場だ」。そう語るBYDヨーロッパのマネジング・ディレクター、マイケル・シュー氏によると、同社は先月、EVやプラグインハイブリッド車を累計500万台出荷した世界初の自動車メーカーになった。

ドイツのデュイスブルクにある自動車研究センターの所長フェルディナント・ドゥーデンヘファー氏は、今年の自動車ショーを「ツァイテンヴェンデ(時代の転換)」と表現する。ドイツのオラフ・ショルツ首相が、ロシアのウクライナ侵攻後にドイツの外交政策の転換を宣言する際に使った言葉だ。

「時代の転換というのは、ヨーロッパ市場に対する中国EVの関心が高まっているということだ」。ドゥーデンヘファー氏は「競争は今後さらに厳しくなる」と話した。

(執筆:Melissa Eddy記者)
(C)2023 The New York Times

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