65歳以下の人がうつ病になる割合はおよそ3%。それが定年を迎える65歳以降になると5%に急増するといわれています。老後への不安やストレス、加齢とともに幸せホルモン・セロトニンが分泌されにくくなること、感情をコントロールする前頭葉が萎縮することなどがその原因です。
しかし人生100年時代では、65歳はまだ後半が始まったばかり。いわば人生の黄金期です。
ベストセラー『80歳の壁』の和田秀樹さんが、不安やストレスのもとを消し去り、心を若く機嫌よく保つことで、うつや認知症を寄せつけないための《50の「気づき」》を提言する新刊『65歳から始める 和田式 心の若がえり』より、一部を紹介します。
定年後にうつには理由がある
◎定年退職は自分の居場所も人間関係も失う最悪な制度
「定年後にうつになる人が多いんだよなぁ」
というのは、精神科医なら誰もがする話です。もともと、セロトニンの分泌量が低下しているところに、定年退職がきっかけとなって老人性うつを発症する人たちは、非常に多く見られます。
それほど定年制とは、心の健康において最悪の制度です。まるで理にかなっていない、おかしな制度なのです。
まだ能力があって会社に貢献できる人材でも、65歳、もしくは70歳になると、一律に解雇する会社がいまだに多いのは、年齢による差別制度といえます。こんな前時代的な制度が、日本という国にはまだあるのです。
「人の心を無用に苦しめる制度なんぞ、なくしてしまえ!」
と、精神科医として日々叫んでいますが、残念ながら、社会はどうにも変わっていきません。
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