幼いころから教育熱心な家庭環境に育ってきたのかと想像していたが、意外にもその逆だった。
赤ちゃんの頃に母は離婚しており、父の存在を知らずに育ってきた。勉強に関しては特に何も言われずに、ただ必要な応援を母はしていた。
そして小学校時代は、とにかくよく本を読んでいた。
国立の小中一貫校で中学受験の必要はなかったが、私立の中高一貫校を中学受験し合格。中学時代は部活に遊びにと、外で走る日々が続いた。
「中学校時代は硬式テニス部で河川敷を走りまわってました。日焼けで真っ黒でした(笑)」
中高一貫校のため高校受験の受験勉強もなく、とにかく部活と遊びと青春を謳歌していた。だが、不思議なことに、高校に入ってから勉強がしたくなったという。
「中学までは部活とかで必死だったんですが、高校からはなんか勉強がしたくなって。テニスを続けていたんですが、部活を辞めて、そこから大学受験に向けて勉強し始めました」
「なんか勉強したくなって」。勉強が嫌いで苦労した人々からのツッコミがきそうなフレーズであるが、このメンタリティこそが今の森を形成してきたものなのだろう。
進学校だったこともあり、授業や補習や自習をメインに勉強を続けた。そして第一志望の東大には落ちたものの早稲田大学法学部に見事合格した。
何か独自の勉強法などはあったのだろうか。
「私は短期記憶がよくて、長期記憶が全くよくないタイプなんだと、自分では思います。だから、とにかく覚えるために復習を何度もやってました。忘れかけた頃に何度も何度も同じ内容を復習することで、記憶に定着させていくんです」
何か特別な勉強法があるわけでもなく、ただひたすらに覚えるために復習する。これが継続できることそのものも、ある種、森の才能なのだろう。
「もうひとつ、勉強は常に考えるということはしていましたね。どんな勉強法が効率がいいかを自分なりに考えながら勉強する。わからないことなども、すぐに人に聞くのではなく、一度自分なりに考えてみるっていうことは、小さい頃からしてました」
常に考えるクセをつける。これは非常に大事なことだ。
今はとにかくわからなければネットで調べれば簡単に答えが見つかる。AIに頼ればもっと簡単だろう。
だが、一方では、考えることを放棄してしまうことになりかねない。
森の幼いころからの考えるクセは勉強に大いに生きてきたのは間違いないだろう。
テッシュ配りも……バイトに明け暮れた早稲田時代
晴れて早稲田の学生となった森はテニスサークルに所属してバイトに明け暮れる日々となった。
「母子家庭のため、大学から給付の奨学金をもらっていたのですが、生活費は自分のバイト代で賄わないといけなくて。ティッシュ配りから飲食店、塾講師まであらゆるバイトをしましたね。教えるのが好きで塾とか家庭教師は楽しかったですね」
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